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昔から、どちらかと言うと、高齢者になると誰でも、未来を悲観的に見る傾向があるのかも知れない。
8世紀に奈良に東大寺が建立され、 聖武天皇が先頭に立ち、仏教を日本に広めた。
仏教伝来後の日本だけをとっても、 なんと大勢の日本人が生まれ、あの世に旅立った事だろう。
運の良い人々は、高齢者に分類されるほど長い年限をこの世で過ごし、 死が近づくと、 「ああ、この世も情け無い時代に突入してしまいそうだ。」と、嘆く場合が多い。
21世紀の今、 堂々たる高齢者群に仲間入りした私も気がつけば、人類の未来を悲観的に見始めていることに、はたと気づいた。
これは人類全てに課せられた重い課題なのかも知れない。
ロボット化がどんどん進む人間界、 若くても社会的には無用の人間が、これから増えると言う予測を良く耳にする。 1%対99パーセントの議論にも相当する。
遺伝子組み換え技術も、日進月歩で予想もできない事象が、今後現実化するだろう。
今までの常識が、どんでん返しになってしまいかねない。 また、今まで以上に、男女の産み分けも簡単になる可能性大だ。
母体内にいるうちに、これから生まれる子供が、低能児になる可能性、身体の何らかの問題を抱えて生まれるようであれば、人工的に流産を促してしまうかも分からない。
近未来、頭脳に小さなチップを埋め込み、 人工的に知能を高めるのも夢では無い時代の到来だ。
高額を払えば、自分の子供のため、学業等が有利になるように、チップを積極的に利用する両親も増えるかも知れない。
低所得層は、 生来の自分の能力だけに頼らざるを得ない。 最先端科学技術的に、能力を強化した他の子供達に負けてしまうのは、目に見えるほど明らかだ。
ナノテクノロジーも急速に進歩している。 勿論、このような新技術を人類の幸福、福祉にのみ使用されるなら、万々歳であるが、 高度の技術、科学的進歩を悪用する個人、団体、政府が無いとは保証できない。
悪と善のイタチごっこが加速化するだろう。 その上、原子爆弾の問題も人類の前途を暗くしている。広島、長崎に落とされた原爆の何百倍も破壊力のある原爆も製造されている時代だ。
原爆所有国対原爆非所有国との反目。 原子爆弾の小型化により、大国だけではなく、悪い意図を持った個人、団体などに手渡ってしまう可能性が増え続けている。
敵国に対するスパイ行為の技術も日進月歩、サイバー攻撃の可能性も増え続けている。
排気ガス、炭酸ガスなど、大気汚染も恐ろしい勢いで悪化していて、 地球温暖化の問題も、日々深刻化している。
個人情報保護と言った面からも、技術が進み、本人が知らぬ間に、個人情報が流出てしまう機会が増え過ぎている。
まるで金魚鉢の金魚のように、 一人の人間も、八方から透かし見られている状態に置かれて、 そのような個人情報を、悪用する人々も増えつつある。
個人だけではなく、 政府、団体、会社なども、個人情報の漏洩を利益のため、自己防御のためなどに使う事を、誰も止められない時代の到来だ。


