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医者ではないので、病名のつけようもないが、 素人ながら、何となく具合が悪いので、 自分の部屋でのんびりする事にした。
小さな一部屋を借りているだけなので、今までは、極力部屋に一日中いる事を、意識的に避けて来た。
そんなわけで、 一日中部屋にいるのも新鮮であった。 訳365日ホノルルに住んでいるが、はじめての経験だった。
インターネットのお陰で、夏目漱石の「吾輩は猫である」の朗読文学を聞いてみた。 一年間、新聞連載でもしたのだろうか、 切りの良い所で、 1、2、3と番号が付いている。 220以上あるが、やっと70番に到着。
当然、明治時代の言い回しが多いが、 内容はなかなか面白い。 学校の教科書でほんの一部を読んだだけであった。
人生最後をホノルルで過ごす選択をして、早一年、じっくり日本文学と対座するのも悪くない。
洋行経験のある夏目漱石作家は、西洋文学をちょろりと覗かせたり、 中国文学が顔を出したり、明治時代の教養人の頭の中が、透き通って見えるような錯覚を覚えるのも新鮮だ。
まだまだ、三分の一も聴き終わっていないが、 新しい時間の過ごし方としての、楽しみが増えた事は事実だ。
二日目には、 体力が落ちて歩けなくなったら大変と思い、再度、バックパックを背負い、 近くのモールに徒歩で出かけた。
ゆっくり15分も歩くと、到着してしまう近距離だ。 歩ける事を確認して、何時もの読書に戻った。
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