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人生の醍醐味  46

Image by Olia Gozha

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2002年頃、 ワイオミング州の、夏の音楽祭に出かけた。 娘も参加していたので、夫婦で夏季休暇を利用して、娘に会いがてら、観光と夜の音楽会を楽しむ事にしたのだ。


リハーサルの無い時間帯を利用して、音楽祭が開かれている場所から、車で行けばあまり遠くない、36マイル(約57km)と割と近くに、有名な国立公園である イエロー スローンがあり、娘が運転してくれた。 夫は60歳、その9月に私も60歳。


地表から、温水が噴き出ているような大自然公園で、 「もし、日本がこの土地を所有できたら、大小多数の宿屋が並ぶ、大温泉地帯が出来上がっていただろう。」と、ふと思った。  


イエロースローンは、 自然をそのままを保護していて、人間の手を加えていない。  温水の池も多々あり、色も様々。イオーの匂い。間欠温泉もあった。  


音楽祭が開かれていた場所は、グランド ティートン国立公園に隣接する村内で、その村は夏は避暑地で、全米から大勢の観光客が滞在していて、賑わっていた。  


夫はパソコンを持参していて、 ゲームなどをしていた。  物忘れがすでに始まっていた時期なので、 私は常に彼と行動を共にしていた。 


口数こそ少なくはなっていたが、 まだ手のかからない楽な時期で、旅行を楽しむことが出来たのだ。


他人にはまだ分からない程度の認知症で、 家族が注意していれば、ごく普通の生活を継続できた。


オーケストラの演奏も、初めから終わりまで、他の観客同様、静かに着席していたし、拍手も惜しまなかった。 


テートン村近辺も、ロッキー山脈が目の前で展開しているような雄大な場所で、娘が車で案内してくれた。  そんなある日、ワイオミング州で有名な,  バッファロー(水牛)の群れに出逢た。


どの車も、一時停止で、バッファローの群れが道を横切り終わるのを、静かに待った。  20頭以上が、砂埃を上げて道路を渡り、荒野をゆっくり歩いった。 


感激的場面で、自然と身近に接することが出来た幸せ感を、噛みしめた。 動物好きの夫も、嬉しそうな顔つきで、バッファローの後を見送っていた。



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