37
2001年の春、 ハワイ州で一番大きな島である、ハワイ島での仕事が飛び込んできた。
通訳者が仕事を貰う道筋も色々だ。 もちろん、通訳斡旋業者からが一番多いが、 その他、多方面から思いがけな時に、仕事が飛び込むので面白い。
例えば、同僚同士で、仕事を紹介し合う場合もある。また、私の場合、 ワシントンD.C.在住が長いので、 日本大使館から通訳要請の声がかかったり、米国連邦政府の所在地であるため、省庁から、直接連絡が入る時もあれば、企業から直接の場合もある。
自由業は、幅広く網を張っておかなければ、 なかなか魚は取れない。
ハワイ島での仕事の場合は、同僚からの問い合わせだった。 その方は、優れた同時通訳者であり、また、旅行仲介業者でもあった。
当時、59歳の私は働き盛り。 ハワイ州での仕事は初めて。 ハワイ島のコナ国際空港へ、東海岸から飛んだ。 玩具製造業界の世界大会だった。
ホテルは、ハワイ島北西部にある、 俗にリゾート海岸と呼ばれる場所にあった。
マリオットホテルが、展示会と大会が開かれる会場で、また、我らの宿泊先でもあった。 ホテルからすぐに海岸に出れた。 夕暮れの太平洋は美しかった。
翌日の仕事のため、会場を下見して、演壇で演説する方、その内容に関して下準備のため、部屋に篭った。
仕事が無事終わり、最終日の夜、ホテルの整備された庭で、立食パーティーが開催された。 普段は飲まないが、 その夜は、白ワインを片手に、薄暗くなった海を見ながら、談笑した。見る間に、昼間の疲れは、海風が吹き飛ばしてくれた。
3日間の仕事は無事終わり、仲間と車を借りて、ハワイ島の有名な火山公園を見学した。
ハワイ島の北西部は、ホテル群が立ち、亜熱帯植物の多い地域であるが、車で南下するにつれ、黒い火山岩だけが広がっていた。
溶岩が冷えてできた景色で、 火山爆発の勢いの強さを証明している。 火山の活動がたまたま活発な時期に当たり、火山の火口には近づけなかった。
1983年から2018年まで、 断続的、継続的に火山爆発を繰り返している。 10万年前に海底から突き出た、キラウエア(Kilauea)火山など、合計5つも火山がある。


