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一人一人の人間は、ガラスの瓶にたとえられる気がする。 壊れ易い事も共通点の一つだ。
ガラスの瓶の中に、苺、金柑、ブルーベリーを入れたら、当然の事であるが、 外から赤、黄色、青と、中の物が良く見える。
人間も、どこで生まれ、どんな両親と兄弟姉妹の間で育ったか、 学校生活でどんな同級生と友達になり、どのような先生のもとで学んだか等が、その人の人となりを形成して行く。
日々の生活でどのような書物を読み、どのような講演会に足を運んだか、21世紀風に、どんな講義等をユーチューブで真剣に聞いたかも、その人に大きな影響を与える。
社会人になり、仕事上出会った上役、同僚、部下、お客様などからも、多大な影響を受ける。
自分が生きている時代に、母国が「政治的に保守的右寄り傾向が強いとか、社会主義的方向に傾斜している」と、言った雰囲気にも、そこで生活している人々は何らかの感化を受けてしまう。
世界情勢の濁流の中に、各国はどっぷり浸かっているのだから、 世界の時流も当然個人に影響を与える。
個人の人生経験こそ、濃厚な影響を人に与える。世界旅行をしたり、国内旅行をしたり、団体旅行、一人旅等、非日常の世界に身を置く事で学ぶ事は多い。
「人類」と言った、大局的見方で、世界史、日本史等をじっくり学び直してみる事も、自分の考え方の浅さを痛感、反省する縁になる。
ガラスの瓶であれば、中に入っている物全て筒抜けであるが、人間の場合、見える部分である外観には、誰でも気を使う傾向大であるが、心の形成過程など見えない部分、また、その人の人生哲学、思想等はその人の中身である分、 一見しただけでは中々判断し難い。
人生の中で出会った人々の生き様は、接触した人に影響を与える。
高齢者からは、人生の始末を、どれだけ計画的に準備したか否かを学べるし、21世紀の今風子供達の遊ぶ様子からも、自分自身の子供時代が脳裏に浮かび、子供時代の良かった点、残念だった点、悔しかった点などが、鮮明に頭に浮かぶ場合もあり、日常生活に深みを与えてくれる。
本人は自分はガラスの瓶ではないから、自分の中味は他の人に見えないと安心し切っているかも知れないが、 人生の辛苦を舐めてきた人、 瞑想などをして心を整えた人には、まるでその人がガラスの瓶であるように、 その人の人となりが分かってしまうようだ。
まして、 今は技術進歩が加速している時代、AI(人工知能)、インターネット接続、ナノテクノロジー、顔認識技術、脳科学等で、はたまた、スパイ ウエア ペガサス等で、近未来本当に、一人一人の心の奥底まで読み取る事が可能になり、「人間はガラスの瓶擬き」に、成り下がるかも知れない。