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ワイキキにある海辺から、5メートル以内の所に古木があり、 その下にある石のテーブルと椅子。辺りの人々は白人が大半で、本土からの観光客らしい。
直ぐ側に売店があり、 ハワイの音楽やアメリカの音楽を流し続けている。
地平線まで遮る物もないので、 広い広い海が目前に広がる。 午前中の自習も終わり、 夕方はのんびり自分を、ホノルルの雰囲気に溶け込ませて楽しんだ。
もともと、大自然の中で、点になった気分を十二分に無心に楽しむために、 ホノルルに来た。
混み入った人生はもう沢山だ。 淡々と何も心配事も無く時間が静かに流れ、歳をとってゆく。
そんな自分の老後を夢見ていた。 実際にそれが現実化した事に、本人が驚いているくらいだ。
死ぬまで、 まだ幾つかの問題に出くわす可能性を否定できない。 でも、今は私の平穏な日々の流れを楽しむ時期なのだ。
今こそ、エネルギーを溜め込んで、 人生最後で最大の関門である死を迎える心の準備期間なのだ。
誰でもそうであるが、私も死と直面する時期が近未来やって来る覚悟でホノルルに移住した。 それが1年、5年、10年それとも15年なのか、本人もわからない。
人はそれぞれ独特の大問題を、人生のあちらこちらで対応せざるを得ないのだろう。
周りの他者がどうする事も出来ず、 本人自身が苦しみながらも乗り越えて行かざる得ない場合も多いのだ。
考えてみれば、この地上で十二分に楽しませていただいた。渓谷もあれば、淡々と平坦な道が続く時もあった。
人生の最後は、「ゆったりとした時期」と言う贈り物が多分準備されているのだ。 その時期に、のんびり自分の人生を振り返り、十分感謝の気持ちが、心に湧いてくる人は、本当の意味で、人生の成功者なのだろう。
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