朗読が健康法として見直されているようです。
想像力を働かせ、役を演じることがストレスの発散につながるだけでなく、長い息継ぎで自然に腹式呼吸を覚え、脳も刺激するといいます。
各地の文化サークルで朗読の会が催され、若い女性の参加も目立ちました。
<朗読教室でのプログラム>
以前、東京・お茶の水の文化センターで開催された朗読教室に参加しました。
三十数人が集まりました。
首や腰の軽いストレッチ体操、おなかで大きく息を吸って吐き出す腹式呼吸の練習、「ウイロウウリ(外郎売り)」など早口言葉で発声練習をした後、本を片手に朗読に移ります。
1人が朗読し、ほかは静かに聞く時もあれば、全員で同じ題材を唱和する時もあります。
悲しい時は悲しく、怒りの場面は声を荒らげて。
腹の底から出す声は狭い教室によく響きます。
感情を込めて役になりきると、日常の憂さもどこかへいってしまいます。
教室は2時間程度で、終わると、だれもが晴ればれした顔になっていました。
<中高年、主婦、OLなど>
教室は月2回、土曜日に開かれていました。
昼の部(定員35人)も夜の部(同30人)も満員だったそうです。
「電話交換手や会社の受付、学校の先生は仕事の必要に迫られて受講するが、ほかに朗読が健康にいいと口づてに聞いて来る人も増えた」と、教室を主宰する女性は語りました。
教室を始めたころは、家に話し相手がいないという中高年以上の主婦が多かったようですが、若い主婦やOLが中心になりました。
<詩、小説、童話、どんな本でも構わない>
「本を介在させると、登場人物の言葉を借りて自分を表現でき、ストレスが発散する。また、姿勢を正し、句読点にしたがって長い息継ぎをしていると、自然にヨガや気功と共通する深い呼吸になる」
主催者は声を出すことで肺活量が増え、この15年ほど風邪らしい風邪をひいたことがないのだと言います。
朗読というと、高度な文学作品や特殊な発声を想像しがちですが、「詩、小説、童話、どんな本でも構わないし、新聞やチラシ、歌詞など身の回りに題材はたくさんある。声を出して読むだけだから、だれでも簡単にできる」そうです。
<初心者には「桃太郎」がおすすめ>
初めての人には「桃太郎」がおすすめです。
イメージがわきやすく、登場人物も多種多様、読んでいるうちに元気がわいてきます。
新聞の場合は、社会・政治面をアナウンサー気分で、小説は主役になったつもりで、広告はCMのように読むと楽しいです。
声は出さないとサビついてしまうから、話し相手の少ないお年寄りに朗読がおすすめです。
つっかえないように読もうとすることで、集中力もつきます。
井上竜仁


