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バブル時代のゴルフ会員権/井上竜仁

Image by Olia Gozha

バブル期、ゴルフ会員権は地価高騰と歩調を合わせ急騰しました。3~4億円という超高価な会員権も多いため、関東ゴルフ会員権取引業協同組合が調べた相場は1件あたり平均3400万円(バブルが頂点だった1989年末時点)でした。


ゴルフ会員権の個人の平均購入価格は1000万円前後で、3000万円以上の会員権は、大手企業が銀行から資金を調達するなどして作る新設コースの募集、それも、法人相手のものが多かったようです。


当時、ゴルフ会員権を売買する営業担当者は「ゴルフ会員権は、たとえ値下がりしたって、ゴルフ場が倒産しない限り、ゴルフを楽しめ」と宣伝していました。


ただトラブルも多く、1988年11月に施行された訪問販売法の改正で預託金制のゴルフ会員権は、規制対象にも加えられていました。


ゴルフ会員権を購入する場合は、以下の注意点が必要でした。


〈1〉経営母体がしっかりしているか

〈2〉会員数が適正か

〈3〉コースの管理、従業員のしつけはどうか

〈4〉会員権の譲渡制限、預託金の償還期間はどうか


これらの点をチェックすることが重要になりました。


友人や、取引業者組合に加盟している業者に相談するのが得策だとされました。


経済産業省(当時:通産省)も、ゴルフ場会社と会員の間で契約書が取り交わされていない場合が多いとして、注意を促しました。


注意喚起の趣旨は、以下のような内容でした。


「新設のゴルフ場に入会申し込みをした場合など、お金を払い込むと会則や証書類が送られてくるだけで済んでしまうことがある。


この場合、裁判沙汰になったとき、契約書がないので権利、義務関係がはっきりしなくなる。その結果、解決を難しくなる。」



ゴルフ会員権を買った場合、預託金証書を受け取るのが一般的でした。


これは有価証券ではなく、お金を払った証明書に過ぎないことを理解しておくことが大切だと指摘されていました。


預託金は、会員が資格を他人に譲渡する場合以外、除名されるなど資格を失った時に請求すれば返還されました。


ただ、普通は5年~10年の据え置き期間が会則で定めてあり、その間は返ってきませんでした。


また、会則に「会員権の譲渡は認めない」とあるのを見落としたり、返還請求権を明確に示した契約書を交わさなかったばかりに、トラブルとなることも多くあったようです。


経済産業省(当時:通産省)のサービス産業室によると、預託金の据え置き期間を過ぎて売りに出そうと返還請求したが、経営状態が悪いため、預託金を返してもらえないケースも多かったといいます。


いざ裁判になっても、契約書がなければ契約不履行で訴えることはできませんでした。



井上竜仁

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