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クモリゾラ ー作:橘花 琴音 ー (spoon神推し物語)

Image by Olia Gozha

 都バスのアナウンスが聴こえる。


聞き取れないのは、近くにいる高校生カップルがスマートフォンから、配信アプリを聴いていて、画面がちらりと見えた。


 チャットルームのようなコメントが流れており、ラジオが聴こえる。

  最近のラジオは、コメントが見えるらしい。


 本日の予定は

百貨店で友達の結婚祝いを購入して

その足でプラネタリウムへ

 時間に余裕があるなら、渋谷まで出て大きなテレビ画面がみたい。


 私の推している配信者さんが、広告で出ているから。


 バスを降りると、街頭の一角で

いろんな音がしてうるさい。

  天気予報のお姉さんが大画面で本日の天気を話している。


 【最近の天気は当たらないよね】

この間も仕事帰りに土砂降りの雨が降り、遭難したかような

 外見の醜態を晒してしまう。



 時間がなくなるから、早く結婚祝いを買おう


 百貨店に入ると「店内アナウンス」が流れている




「spoonの配信者です。皆様のお声を貸してください。私がHey spoonといいましたら皆様もHey spoonと合わせてください。気持ちが盛り上がります」


 ・・・・・・・なにを、いっているのかよく分からない


笑いながら、【Hey spoon】と声を出し始める人々。


 だ、大丈夫かな、ここ。

ブランド物の新生活グッズをみていると


「迷子のお知らせを申し上げます」

というアナウンスがして

被るように

「俺はここで何十年もこき使われて迷子のお知らせをしているものです」

別のアナウンスが入る。

MCバトルが繰り広げられる。


『いま、私がお知らせしています、あなたはマイクを切ってください』


 「やだね。迷子のお知らせほど重要かつ、人々にしっかり伝えたいと思う。みんなはどう?」


『口を慎みなさい。えー皆様大変お見苦しい内容で』


「俺がここの

迷子のお知らせの担当です」

『いいえ私です』


MCが喧嘩を始めている。


だ、大丈夫かな、この百貨店。


【声劇ガチ勢】とよばれる

1階の総合案内の背景にある画面から

【声劇配信者】のニュースも聞こえてくる。



【配信者】か。

ブランド物のお揃いのマグカップを購入すると

 私はプラネタリウムへ急いだ。


 今日のプラネタリウムの声の担当の人も推しなのだ。



プラネタリウムで

夜空のアナウンスのあとに



【少しお昼寝しませんか?貴方の疲れをここで癒してください】


と【ヒツジのカウントダウン】するアナウンスが入る。



 最近のプラネタリウムは、面白い。






私は、公園に来ると

  周りを見渡した。


【夕方の人気のいない公園】だ。





よし。

  私はアプリを起動すると

【配信】を開始した。

 「公園から配信しています。みんなお疲れ様!帰り道配信だよ。スマホ一台で出来るから凄いよね

  ハートありがとう!そのハート、バスターで打ち返すね!

    あ、おはよう!ことねぇだよ!流れ星、潜りなんでも大丈夫です。来てくれてありがとう!」





 私は【spoon】というアプリをダウンロードして

  沢山の推しに出会い、最後は

【自分】が配信をしていた。


  配信とは【ラジオ配信者だけのもの】だと思っていたけど


  私にとって

【配信】とは

【配信者】とは

【コミュニケーションのツール】だった。




曇り空。  

ークモリゾラー

  私はママ友虐めや、小学校時代のイジメのトラウマなどがあり

  【人とコミュニケーションを取ることが死ぬほど恐ろしかった】



【上辺だけで付き合っていた】





その私が

  【配信】をして

【リスナーとコミュニケーションがとれるようになった】のだ。





夜になりかけの空は

黄色やオレンジからのグラデーションで

夕日で赤く染り

  最後は青い群青色へと変わっていく。


【夜に染まる】





明日は晴れるだろう

私の心も【晴れ】ているのだ

 出逢えた推し

別れた推し

   貴方と私の物語を気づかせてくれた人



私もいつか

  【リスナーの希望になる】と

【読者の希望】になると

 いつか別れるその日まで

  私は【コミュニケーション】を諦めずに取り続ける。






#曇り空

#spoon配信者

#音の迷宮

#CAST

#フィクションです


#小説

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