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13/10/20

俺だけチケットがない!ヒッチハイクで出会った七人のドライバー【高速にのろう編】

Image by Olia Gozha

僕はベンツに乗っていた。

両脇には「姉さん!!」と呼ばれる普通よりも目立つ派手な女性二人

運転手はタキシードを来た、現ブルースウィルスの髪型の男性だ。

僕は車内でしっかりと萎縮していた。

※これはヒッチハイクの話である。


夜の高速を走る中、僕は何か言われるたびに「はい」しか言わなかった。

両手に「LAまで」と書いたスケッチブックを持って。

ヒッチハイクでベンツに乗ったのを説明するには、

少し時間を巻きもどして、説明する必要がある。

俺だけチケットがない!ヒッチハイクで出会った七人のドライバー【高速にのろう編】

高速道路路入り口は♪ヒッチハイクの近道〜〜♪♪

高速道路の入り口は♪ヒッチハイクのビクトリー♪♪

Ah----Ah-------Ahーーーーーーーーー♪

「ヒッチハイクの歌〜高速入り口で君を待つよ〜 」

作詞 僕

作曲 中田ヤスタカ

BC(バックコーラス) マライヤキャリー

ヒッチハイクの歌なるものがあるならば、

是非とも作詞は僕で周りを豪華に固めてほしいと思った。

この時、まだ僕は陽気だったのだ。

高速道路に乗る車は東京に向かう確率が高いという、

ヒッチハイクという名のゲームの必勝法を見つけてしまったばかりだったから。


必勝法に乗っ取りgooogleマップで見つけた高速道の入り口までは、1時間足らずでつく。


徒歩で


、、、、たしかに君達の言いたいことはわかる。

ヒッチハイクの中でどれほど、

徒歩が許されるのかという問題だ。

徒歩についての規定は、

世界ヒッチハイク協定の第12項の第4条で下記の通り定められている

「徒歩は許される範囲内で」


例えば京都・東京間を徒歩15時間、車5時間だったとしたら、それはヒッチハイクではなく、すごく長いウォーキングだ。


もっと言うと、ちょっとズルをしたすごく長いウォーキングだ。

しかし今回、徒歩は一時間足らずしか使っていないため、「許される範囲内」であるし、その部分について議会で追求をして、僕の記録を無効にするような保守派が存在するとも思えないので、


この徒歩はアリなのだ

高速道路の入り口の車は止まらないったら、止まらない

高速道路の入り口で僕は右手をかっこ良く道路に対して、

水平に腕をのばした。

拳を作る


そして親指だけを立てる


車は止まらない

夕日があたってまぶしい

逆光でずいぶんと僕のシルエットはイカしてるはずだ。

時代が時代なら、女の子達がキャーキャーいいながら、胸を露出し僕に黄色い声援を送っていただろう


でも、車は止まらない。


、、、、、ってか車めっちゃはええーー!!!

高速道路に乗り入れようとするドライバーは、

せっかちが多いのかとにかく、スピードが速い!!

なんてせっかちな奴しかいないんだ!!


こっちに見向きもしない人もいる。


みんなラルクの「ドライバーズハイ」を聞いているか、

気持ちよくなれる魔法の白い粉でもキメテいるじゃないかとおもった。

どっちにしろ地平線に届くように限界まで振り切らないようにしてもらいたい。

とにかく30分間、僕はまるで誰にも相手にされなかった。


※窓を全開にした変なビート音をまき散らす公害ヤンキーが、「ウエエーーーーイ」と奇声を上げて小馬鹿にしてくることはありましたが、今回、彼らを人間としてカウントしてあげることはできませんでした。

焦った僕はお腹が空いたし喉も乾いたので、

高速道路沿いにあるコンビニに引き返した。

そこで、僕はとんでもないものをみつけてしまった。

僕はそいつに急いで筆を走らせた。

これはヒッチハイク界隈を揺るがす、世紀の発見である。

※ビックス粒子の発見おめでとうございます

世紀の発見は実用化されて早々に、

世界に衝撃を与えた。

そう、彼が掲げられると5分としないうちに

、車が止まったのである。


それは魔法みたいだった。

1台のなんとも庶民的な国産の乗用車のドアが開いた。

1人目 手塚部長似の司法書士男性

「乗ってく?』

司法書士をしているクールなイケメンだった。

テニプリの舞台にだすなら手塚部長だなと、

よくわからないことを考えたりした。


「いやあ、なんか面白いことをやってるなと思ってさ」


手塚部長が僕を乗っけてくれた理由は、なんともかっこよかった。


なんか面白いことをやっている奴を、なんか面白いなと感じて協力してくれる人。

世界はこんな感じで回っているんだろうなと思ったし、

やっぱりテニプリの手塚部長だなと思った。

それから次のサービスエリアまで、車内で手塚ゾーンとか天衣無縫の極みなどについての話をした。


ヒッチハイクを通じて車内での少しの時間をシェアする。

ヒッチハイクの醍醐味はここにあるんだろうなと思う。


車内での楽しい時間を過ごし、僕は手塚部長が降りる前のサービスエリアでおろしてもらった。


そしてサービスエリアでまた、魔法の画用紙を掲げ次の車をすぐにつかまえることができた。

二人目 ビーチフラッグのうまそうな青年実業家

二人目のお兄さんもイケメンで、

筋肉番付ならビーチフラッグがうまそうだなと思った。

二人目のお兄さんにも、お兄さんが降りる前のサービスエリアでおろしてもらった。


ヒッチハイクで乗せてくれる人は皆気さくないい人で、

やっぱりこの人はビーチフラッグがうまそうだなと思った。

高速道路に一回乗ってしまえば、ヒッチハイクはもう問題ないように思えた。


そうすると余裕が出てくる。

いつの時代だってそうだ。

余裕がでてくると人は遊びを求める。

だから僕はふざけてスケッチブックにこう書いた。

「LAまで」


これがヒッチハイクの神様を激度させた。

※今で言う激おこプンプン丸である

「なにあれ〜超面白いんだけお〜〜〜」

「え〜〜ウケル〜〜」

「LAまで」と掲げているアメリカンヒッピーもビックリの僕の前に、

女性が二人現れた。

僕は舐め回すように二人をみた。

さりげなく髪型をちょっとクシャッと無造作にしたのを覚えている。

聞かれてもいないのに「ヒッチハイクやってるんです」と

ちょっと福山雅治を意識した低い声でしゃべる。

福山ボイスが効果抜群だったのか、

「うちらの車にのってく?」といわれた

僕は興奮した。

興奮してちょっと勃起したかもしれない。

車内でなにかあるかもしれないぞ

ホクホクと闘牛のように歩き出す

とにかく僕はうれしかった

ヒッチハイクの神様が激怒しているともしらず。

※カム着火インフェルノとかもあるみたいですね


天女達に促されるままに僕は彼女達の車に着いた。


ベンツがあった。

ブルースウィルスみたいな頭をした男がいた。


男は天女達を「姉さん!!」と呼んだ。

「なんです、その男は?」運転手の男は怪訝そうな顔をした。


「ヒッチハイクしてるみたいだから乗っけてって」

もう、お姉さんは乗っけてってくれる気満々である。

「ああん?!ヒッチハイク?」

ヒッチハイクの意味が分からないなら説明しますから、

臓器だけはとらないでくださいとは言えずに「ええ、まあ」とだけこたえた。

僕は車に押し込まれた。

三人目 たぶんあちらの世界の方々


よれたにジーパンの男がベンツに連れ込まれる。


逃げられないような形で真ん中に座らされ、車は走り出す。


傍から見たら


なにかしでかした男が拉致された

そんな風にしか見えなかっただろう。

そして前述の通り僕は何か言われるたびに「はい」しか言わなかった。


だから車が高速をおり始めたときの必死の抵抗「あ、、」を言ったときには、

何もかもが遅かった。


「じゃあ、俺らは店いくから兄ちゃんはここでいいよね??」

「ええ、はい」


自己主張ができないまま

夜の九時に僕は名古屋の一般道でおろされた。


高速道路上を乗り継いでいくという必勝法は崩壊し、

ここから真の地獄がスタートした。

PS 

運転手のお兄さんはカメラを向けると満点の笑みを浮かべる、

とても気さくな良い人でした。


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