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「人材」をごりごりと石臼で磨り潰していくような社会では、誰がどこから来ても同じようなことが起こるだろう

Image by Olia Gozha

たまたまつけたテレビで、引きこもりの人を取材した番組をやっていたけど、つらすぎて途中で見るのをやめた。

何がつらいって、出てくる人が、自分と全く同じ歳だったり、同じ世代の人ばっかりでとても他人事として安心して見ていられなかったから。

自分は26歳の時、日本で働いてて、どうしようもなくなって、4年働いていて貯めたお金を持ち出して日本を出たけど、その時でさえ家族や友人知人から「逃げるんだろ?」って言われた。

たぶん、その時に日本を出なかったら、このテレビに出てる人たちとそう違わない日々を送ることになったんだと思う。そういう意味でこれは、もう一つの自分の物語なんだろうと思った。

あの26歳の時に「逃げ」なかったら、今どこで何をしてたんだろうと思う。

それに、今だってちょっと何かあればすぐにこんな生活を送ることになると思う。それくらい、日常というものは虚ろで危うい。

これまでの自分、そしてこれからの自分のもう一つの生活を見せつけられるようで怖くなってテレビを消した。

この社会で100万の人々が、今この朝の瞬間をじっと息を殺すようにして過ごしている。真面目すぎて、がんばろうとして、それでもどうしようもなくて。

こんな人たちに問題があるのか、100万もの人々が外が恐ろしくて部屋から出られなくなるような社会が狂っているのか。

そんな中で人手不足による「外国人材」受け入れ。今後、外国人の引きこもりの問題も起こってくるだろうと思う。いや、もう起こってるのかもしれない。

「人材」をごりごりと石臼で磨り潰していくような社会では、誰がどこから来ても同じようなことが起こるだろう。

それで、自分にとってよかったことは、海外に出るっていう逃げ場があったこと。あらゆる人にとってそれが海外である必要はないけど、とにかく、居場所とまではいかなくても人々にとって多くの逃げ場を作れるような働きかけというか、そういう教育かインプットがあるといいなと思った。

効率性を求めるあまり、ひとつを失うとすべてを失うような社会というのは、躓かない人にとっても、躓きつつある人にとっても生きづらいのではないかと思う。

大切なのは、自らの身を削りつつ不必要なほど多くのものを生み出すのではなく、みんながほどほどに息を抜きつつ、かつ満足感できるものを継続して生み出せる社会であることではないだろうか。

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