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13/7/26

ゴキブリを少しだけ好きになる話

Image by Olia Gozha

皆さんはゴキブリは嫌いでしょうか?

殆どの方がゴキブリは嫌いだと答えるでしょう。
東北の田舎で育った私にとって、ゴキブリなんかより怖かったのは、我が物顔でお布団に入ってくムカデとか、猫が生きたままとってくる、アオダイショウとか、凶作の年に、山の近くで会うイノシシでした。

ゴキブリが怖いと思ったのは東京に出てきてからで、当時暮らしてた大井町のアパートでは、もやぁ〜とした天気の日に家に帰ると必ずといっていい程、彼らがお出迎えしてくれた。そんな日は朝までやるかやられるかの死闘が繰り広げられ、しまいには「お静かに」という苦情の手紙が投函される始末。。。。

2年住み流石にもう嫌だと思い、彼らが居なさそうな地域(どこ)に引っ越しをし、最初の1年は、彼らと逢う事も無く平穏に過ごす事ができました。
しかし、そんな平穏な生活に、ある日ひょこっと彼らがやってきたのです。
なんでしょうね。あの「居る」ってのがわかる感覚。振り返れば壁にはり付いた彼が!!!
しばらくぶりの相対、私もかなり腕がなまっていたせいで、彼をとり逃してしまった訳です。
次の日、ビクビクしながら家に帰ると、彼は居ず「ホッ」と一息付いた所に、なんとまた彼がぁぁぁぁ。
「あれ?ちょっと小さくなった?」と思いながら、間合いをとる私。しかし間合いが広く結局その日も彼をものにする事ができず、自由にさせてしまいました。

あくる日、もう精神的に追いつめられた私は薬局でバル●ンを購入。
良心が痛みながらも、バル●ンを設置して家の外へ。今日までの彼との思ひ出が走馬灯の様にめぐり・・・・・
めぐっている最中になんと火災報知器が。。。。そうです。火災報知器カバーしてませんでした。
急いで煙の中に飛び込み、窓を明け火災報知器を止める私。
「彼を殺す前に、自分が死んでまうわ」と思いながらうがいをし、火災報知器にカバーをし、もう一度バル●ンを付け、家を後しました。

3時間後、帰ってきた私は恐る恐るドアを明けると、本当に入り口の直ぐ手前に、1匹の大きな黒々した彼が。。。。
「これで、安眠できる」と思った私は、更に部屋の奥へ入ると、バル●ン付近に割と小さめの彼をもう一匹発見したのでした。
私が、1匹だと思っていた彼はどうやら2匹で、私は1日置きに彼らに逢っていたのでした。
お亡くなりになっている位置からすると、小さい彼はバル●ン付近で、本当に煙をすってすぐ、お亡くなりになった様でした。大きい彼は、体力も生命力もあるせいか、バル●ンに直には亡くならず、空気が出て行く入り口付近で、しばらく苦しんで亡くなった様に感じられました。

若干の申し訳無さを感じ、そして一方では最後の時を大事な人(ゴキ)と迎えられる事のうらやましさも感じました。

そんな事があって、1週間程経ち私も彼らの事をすっかり忘れてしまった頃、本当に小さい小さい、数匹のゴキブリが我が家に現れたのでした。
そうです。私が殺した彼ら、、、もといご夫婦の子供達だったのです。
その時、初めて私がしてしまった過ちと、そしてご夫婦が残した忘れ形見を、私が両親同様に殺めなければならない現実に、ひどく無情さを感じました。

ゴキブリだって恋人や家族が居るんです。そう考えたら、すこしゴキブリも好きになりませんか??






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