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13/7/29

偏差値30台から、4年浪人して獣医学科に入学した話 第13回

Image by Olia Gozha

4浪目、そして入院。

予備校のテキストはオリンピックだと言われた。

最初は意味がわからなかったが、4種類あってそれをグルグル回しているらしい。私は全種類持っていました。自分の分と兄の使用していたテキスト。合わせると全種類ありました。


医学部ならまだしも、獣医学科で4浪する意味があるのか?

と、言われたこともありました。

世間的にはないかもしれない。そこまでの価値は見いだせないかもしれないけど、私にとっては医学部に合格する以上の価値がありました。


4浪目、模擬試験の結果は安定してA判定を出していました。成績優秀者にもぽつぽつ出るようになり、手ごたえ十分でした。


毎日毎日、問題を機械のように解く。ひたすら解く。

今年、合格できなかったら天変地異だなぁ。そんなことを考えていました。


それとは裏腹に体調は悪くなる一方でした。体重の減少も止まりませんでした。

そばで話しかけられても、遠くで小声で話されているようにしか聞こえない状態でした。

それでも、今年こそは必ず合格して全部にかたをつけたい。終わりにしたい。


それは絶対に譲れませんでした。


ある日、母が「そのままだと死んでしまう。絶対に病院に連れていく。」と、叫びました。それまで、一言も言わず我慢してきた母が泣きながら言いました。


子供のころからお世話になっていた病院に行ったら、最初私が誰か分からないほど痩せこけてしまっていました。


血液検査の値も悪過ぎて、意識混濁状態もひどいので大きい病院を紹介されました。


また、母と一緒にその病院へ行きました。

「こんなになってまでどうして獣医になりたいの?」と聞かれました。その言葉も、すごく遠く聞こえました。

「病気を、治してあげたいから。。。」と答えた記憶があります。

「今は、自分の病気を治そう。自分が元気じゃないのに、動物の病気を治すことはできないよ。」と、ごもっともなことを言われました。

「入院したら、勉強ができない。勉強を取り上げないでください。今年こそ合格して終わりにしたい。家族に迷惑をかけている。」と、入院を拒否しました。

「入院する時に、好きなだけ問題集・参考書を持っておいで。先生の部屋を夜は貸してあげるから。入院しなければ、年を越せる保証はできない。」

それは、つまり入院しないと来年までに私は死ぬという事なのか?

初めて、自分の状況に気付いた。なぜそう言われないと気付かなかったのかは今でもわからないまま。


段ボール箱いっぱいの問題集と参考書を持って入院した。

受験生の天王山と言われる8月の蝉のミンミン鳴く日、私は入院した。


受験予定の模擬試験はキャンセルした。

受験本番まで半年を切っていた。





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