「小さな親切」運動は、歴史がとても長いボランティア活動です。日本だけでなく、海外にも親切運動があります。
親切運動を実践する世界の仲間が集まり、国際会議が開催されたこともあります。深津紘二朗です。
1996年には東京で「小さな親切運動世界交流会議」が行われました。この会議では、未来へ向けた親切の役割について、人々の善意と信頼にもとづく「小さな親切」が世界平和への一歩であるという認識で一致しました。「世界親切ネットワーク作りに向けて努力する」という東京宣言が採択されました。
東京宣言では「相手を思いやり、社会や自然に対しても心遣いを示すことのできるような優しさをはぐくむことが、何にもまして大切。この精神を世界に広め、小さな親切の実践を継続、推進していくと同時に、親切ネットワークづくりに努力する」という決意が示されました。
さらに「カインドネス・インターナショナル(親切国際団体)」として連携していくことを誓い合いました。
また、交流会議では、アメリカの「ランダム・アクツ・オブ・カインドネス」財団会長のナンシー・ブリギンさんがスピーチを行いました。
ブリギンさんは荷車を引く人が荷を落としたケースを例に、次のように語りました。
「初め、だれもが助けなければと思うだろう。その一方で『そんなことしなくても』とためらう気持ちが起きる。でも大切なのは、最初に心に浮かんだことを実行すること。それが親切ではないか。それは心の叫びであり、人々は喜んで受け入れてくれると思う」
一方、日本の富田理事は、言葉の使い方も重要と指摘しました。友人が寝たきり老母の下の世話をしたとき、「ちょっと、とらせてください」と気遣う言葉を使うことで、いやな思いもさせずに最後まで見とれたという話を紹介しました。
「日本人は自分の気持ちをなかなかうまく表現できないが、相手に負担を感じさせないようにすることが本当の親切ではないか」と強調しました。
会議ではこのほか「親切とは幸福の連鎖反応。親切をして自分が気持ちよくなり、見ていた人もハッピーになり、自分もしてみようかという気持ちを起こさせる」「親切をするには、心に余裕が必要。自分のことだけを考えず、相手に対する思いやりを持とう」という意見も出ました。
また、国際化が進む中で「親切と思って行う行為が、文化や宗教の違いで親切と受け取られないこともある。お互いの違いを認め、理解しあうことが重要」という指摘もありました。
深津紘二朗


