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ハロー!クロスアセクシャルマンの愉快日記8~社会人始めました~

Image by Olia Gozha

ハロー!超お久しぶりになります、こんにちは。相変わらず好き勝手やっているkeisukeです。大分日が空いて8回目、なんと既にボク、社会人やってます。
 今日は、そんな中で色々変わったこと。変わらない事。踏み出したこと。意外と自由にやってもいいんじゃない?ってことを、ご紹介しようと思います。

 僕、社会人。コロナが流行り出した直後くらいの就活で、僕は基本的に困ることも無く、するっと4月には第一志望に内々定を頂いた。趣味に関わる、もうここしかないじゃないか、というような企業。ジャンルで言えば現場職になるが、基本福利厚生の手厚い、僕のようなメンタルぐらっぐら人間にとってはありがたい職場だ。本社があり、各地に事務所があり。僕はその中で、某県の事務所に配属された。その課の班、そして会社全体の機械系職員唯一の、「女性社員」としてだ。

 現在僕が所属する事務所では、そもそもこの現場班に女性が配属されること自体史上初だったそうで、先ずトイレはどうするかという問題でてんやわんやだったらしい。行く現場によってはトイレが無いとか普通だったそうなので。そこは色々何とかしてもらい、現状、割と快適にやっている。

 それでまぁ、会社員生活については置いておくとして。大きく変わったのは、服装だ。大学生の頃も比較的好き勝手やってはいたが、「別に友人でもないクラスメートや先生の目」というのがどうにも気になって、限界でも「中性的な恰好」しかしていなかった僕だったが、寮でもなんでもない、完全な一人暮らしを始めるにあたり、とうとうそれすら僕はやめた。靴、ショルダーバッグ、セールでチノパンだって買った。「女性に見えない服」ではなく、「男性の服」を、購入してみたのだ。

 初めて、クラスの男の子たちが着ていたようなシャツやカーディガンを手に取り、きてみて、すごくうれしかった。すぐに髪も切った。耳が軽く出るほど側頭部もすっきりさせ(とはいえ、個人的に髪が多少長い男の子が好きなので刈上げたりはしないが)、鏡を見ればそこには、確かに僕自身の理想が、写っていた。

 ああ、何て素敵なんだろう!タオルやカーテン、ラグもシックな紺色に統一し、自分の給料で自分の理想を作っていく、そんな日々が楽しくて仕方がない。友人に写真を送って「イケメンめ腹が立つ」なんて言われてからは、もうショッピングモールを歩くことさえ怖くなかった。綺麗な男の子になるんだ、と、堂々とメンズ服売り場を見て歩けることが、嬉しかった。


 しかし。そんな僕にも、何か違う、と思う日は、やはりある。ふとインターネットのバナー広告で見かけた、アシンメトリーな長い裾の、美しい漆黒のワンピース。非対称な透明感のある裾が、モデルの女性の足首に、さらっと絡んで、舞う。可愛いというより、美しい布使いだった。いいな、欲しいな。そう思ったら止まらない、カートに放り込んだ3日後、そのワンピースは届いた。

 キャミワンピなので、中は白いインナーが良いだろう。でも、Tシャツじゃあこの優雅さを壊してしまう。ならば、ブラウスが良い。けれど胸元の淡いレースにボタンは邪魔だ。なら?なら、うなじにボタンをあしらった、立て襟のブラウスが良い。さらっと前髪を流し、ファンデーションで肌を整え、チークを抑えた白い頬に、赤い口紅を。ついでに買った7.5㎝の黒いヒールと合わせれば、それはもう、やはり、理想の女性がそこにいた。幸い、女性の中では比較的身長が高い方に入る為、ヒールも合わせて、綺麗に左右非対称の裾を捌くことが出来る。友人に写真を送ってみた。帰ってきた言葉は、「うっかりいい女だと思ってしまった自分を殺したい」、だった。

 以降、僕の部屋には服が増えた。フリルスタンドカラーの白いブラウス、ヘンリーネックのフェイクレイヤードTシャツ。足元まで届きそうな薄手のロングカーディガン、はたまた編まれたサマーニットカーデ。女性の服を着たいときは思い切り着る、男性の服を着たい時は躊躇せず着る。もう、これでいいんじゃないかと、そう思えた時、ようやく今まで抱えていた違和感が消えた。どっちにも見える様に、じゃあ、苦しい。どれでもいいように。最終的に僕が行きついた結論は、「男性女性両方の服を集める」ということだった。
 当然、1シーズンにつき(今までほとんど服を買わなかったツケだが)”2パターン”服を買いたくなってしまうので結構出費は激しいが、そこはネットショッピングやらセールの時を狙えば意外と苦でもない。未だに、休みの日なんか出掛ける際の服の性別が決まらず迷うことはよくあるが、思い切って両端に振れることで、服を着ることがようやく楽しいと思えたのだ。あれだけ苦痛だった性別というカテゴリから、とうとう僕は解放された。

 余談だが、メイクもそうだ。あれだけメイクを嫌っていた僕だが、色味一つ、肌の印象一つで自分の見た目をコントロールできる、と言う事にちょっと楽しさを覚えてきたのである。洗顔とヘアケアには気を使って地を整えるようにし、例えばグリーンのベースコントロールで頬の赤みを消し、ファンデーションで整えて目じりに近い辺りに薄くチークをはき、アイシャドウは青系でもいいかもしれない。うるさくならない程度に蒼を散らし、深紅に近い口紅を引けば、とても無機質で綺麗な女が出来上がる(どうも僕、ピンク系の口紅が似合わないらしい。髪が黒いせいか顔から浮いてしまう)。
 また、女性をエスコートしたい時、より綺麗な男としたいときは、男性の恰好の時も軽くメイクをする。下地、ベースコントロール、ファンデーションは薄目に。鼻筋に軽くルースパウダーをはいて瞼の中心辺りにごく軽くアイラインを乗せれば、肌をきれいに見せて、もう少しはっきりした顔立ちにすることもできる。男の子だって撮影前はメイクしますよ、と就活写真を撮りに行った時に写真館のスタイリストさんが言っていたのを思い出してやってみたのだが、なるほど、これは良い。元々目のクマの存在感が強いせいか不健康に見えがちなので、ぱっと顔が明るくなるのだ。

 選択肢を増やしたことで、僕の性別はもっともっと自由になった。結局服を着るのだってメイクをするのだって、自分が周りにどう見てもらいたいか、それに尽きるんだなぁ、なんて思いながら。仕事の日は基本毎日制服・・というかまぁ制服か、うん、で通勤なので私服を着ることは無いが、この会社のイメージカラーがアクセントにはいったかっこいい制服を、僕は気に入ってる。ヘルメットは重いし、先輩方は足が速くてついていけないこともあるけど。色々なしがらみから解き放たれて、今のところ、結構自由にやっています。


 男がメイクしたって、女がメンズ着たって。何でも良いんだよ、何でも楽しいんだよ。今回は、そんな話でした。

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