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13/7/21

イノベーション・マネジメントをディスカッション中心で学んだ時のこと。【2】

Image by Olia Gozha

時間は限られている。10分で結果を出せ。


前回の続き。

本格的な授業が始まると、大きく分けて二種類の講座があった。一つはプレゼンテーションやファシリテーションのようなスキルをアップする為の講座。これらは個々のスキルを上げる目的で、講師それぞれのやり方で指導してくれる。この講師も皆一癖二癖ある人達で面白かった。学校のようなコマ割ではなくて、一日を一つの講座でミッチリやる。3日くらいかけて学ぶ講座も多い。

もう一種類が「イノベーション・マネジメント」について学ぶ場になる。これをやる時にはお題や座学はあるものの、ポイントごとにグループディスカッションが入ってくる。最初にN先生に言われたのは

「事業での意思決定は時間が限られている。限られた時間の中で意見をまとめて行動しなければいけない。とにかく時間がない!」

という事だった。ディスカッションは6人ずつ位の班で行う。お題と時間を決められたら時間内にアウトプットしないといけない。

これを初対面に近い人で行うのが相当しんどいとわかった。まず時間がないので焦る。でも、人の意見をちゃんと聞かないとまとまっていかない。とどめに、明確な意思決定権を持った人がグループに存在しない。この状態で何かを集約して形にするのは準備的に行ったお題でも相当大変だった。

それまでの僕の社会人での経験したチームはどちらかと言うと内向的な人が多かったので、「いかにその人の意見を引き出すか」ということがキーになっていたのだけど、こういう場にあえて来るような人達は少なくとも自分の意見を発信できるタイプの人の割合が多い。声の大きな人の意見に引っ張られないようにする為のアクションがまた時間を削ってゆく。仕事のバックグラウンドも違う人達だったので、そのあたりの価値観の違いも大きい。

そんなわけで、とにかく気を遣うし疲れるし、一回やるだけで脳みそがオーバーヒートしそうだった。そんなのを複数回一日の中で行うというのはそれまでの自分には全くない経験だった。

朝から晩まで議論したことのない僕におきたこと

それまでディベートするような部活もやった事無く、プライベートでも仕事でもどちらかと言うと何か作る方向性で生きてきた僕にとって、話し続けて意見集約するというのはあまり無かった。

技術者の中ではよく話す方だとは思うけれど、それも大抵一時間かそこら良好なコミュニケーションが取れれば良いような場なので、「意見を戦わせる」というコンテキストを維持させた状態で話し続けるというのも始めてだった。人の意見を聞き流せないし、所謂「落しどころ」的なものを模索しながら話すのも、とにかくストレスが高い。営業さんとか普通なのかも知れないけど、僕はようせんわ。

そんな僕は初日から数日間は寝付きがとても悪くて、脳みその加熱が全然収まらなかった(脳だけはずっと活動してしまっていたような感覚だった。エンジンかかりっぱなしでOFFできない、という雰囲気)。寝不足だった。眠れなくなったらどうしようとちょっぴり心配した程に。

実際のお題はどんなもの?

所謂ケースというもので学んでゆく。ケースには想定する企業の歴史や内情、今持っている資産や負債、市場でのポジション等がわかるような長い文章と図表が入っているものだ。

実在の企業のものをあえて社名を隠して出されている事も多い。読んでいるうちに「あれ?ここってあの会社?」なんて解ったりもする。イノベーションの授業なので、所謂良好なイノベーションを繰り返している企業のケースを行う事になる。


ここで「日本でイノベーション繰り返してる企業なんてそんなに無いんじゃない?」と思った人がいそうなので、少し補足をさせて欲しい。これはN先生の受け売りだけど、今の僕には確からしい考え方だと思って捉えている。

イノベーションしなければいけない理由を「企業が存続する為」という捉え方で考えると、長く生き残っている企業は必ずイノベーションを起こしながら進んでいる、ということが言える。そして世界的に考えて200年続く企業というのは相当な長寿の会社で、日本には創業100年以上や200年以上の会社の割合が欧米に比べて高いという事だった。つまり、老舗企業はイノベーションを繰り返しているからこそ今存続できているのだ、という考え方になる(これには異論があるかも知れないけど、今は置いておかせて下さい)。

例えば老舗のお菓子メーカー「とらや」さんがずっと同じ方法で羊羹を作り、売り続けているのか?というような形で考えると解りやすいかも知れない。


だから、僕らのケースはよく知った会社のものが多かった。洗剤作っている所とか、家電作ってる所とか、生活雑貨とか化粧品とか…etc。そしてケースを読んで講座を受けるとその理由が納得できる所に落ちてくるのであった。


ケースの中からN先生から出されたお題に答えるように議論を進めて、最終的には「その会社がどのようにイノベーションを続けているのか」という仕組みだったり、その為の考え方の要素を学ぶ。


…もちっと続けます。


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