毎日、返信になりそうになって、ふと、
ライトノベル作家で桜田由莉(さくらだゆり)は、スマートフォンを弄る手を止める。
読者とTwitterやInstagramでコミュニケーションとるのは、楽しいけど、個人間の異性へのDMやメールを毎日してしまうと、誤解を招きやすい。
恋人、ではない。疑似恋愛の要素でお互いわかっていてやるならいいけど、片方が本気でやりとりしていたら、温度差もあるし、振る時恨みを買いかねない。
見極め、よね。
幼少期から勉強しなくても学年トップ。優秀な女の子だったがゆえに、彼氏が出来たことがない。もうすぐ20歳。成人するというのに、恋愛を漫画やドラマでしか知らないのは、危険だと思う。
『恋愛偏差値低い』というのは、純粋であると同時に【騙されやすい】というデメリットがある。
【貴方は私の妻です】
というメールが届く。
いいえ、妻ではありません。
【この間デート楽しかったね!】
いいえ、デートしていません。
妄想なのか、冗談なのかわからないメッセージをみて、由莉は対応に困る。
既読スルー、して返さなければそのうち飽きるかな。
ところが毎日、毎日メッセージが届く。
一方通行のファンレターでは。ある。返信していないのに。
最初、分からない相手からの好意に、恐怖を感じた。
嬉しい反面、インターネットには【嘘が溢れている】
そのうち、飽きるだろう。ファンレターの一環だとおもって放置、してみると
【愛の告白が、日に日にレベルアップしていく】
・・・。
まずい。非常にまずい。なぜ何もしていないのに、メッセージが来るのか、という点。
原因は、多分、プロフィールの写真。
【顔を晒してから】だ。
いまは、インターネットやYouTube、配信アプリからも人気芸能人が生まれる時代。
由莉は、細くて白い指で、右の耳に語る髪の毛を耳にかけると、
「既視感があるなぁ。なんだろ、これ」
そう、既視感あるのは、当たり前。
女子高生のときに、も、合ったのだ。部活も同じ、遊びにいくこともある、高校の同級生に、SNSを荒らされた過去。そしてそれは、【同性】だった。
妬み、は、怖い。
【敵は敵のような顔をしていない】
ということだ。
これだけ、念頭においた上で
どうするのか。
月が寝ているように。静かな夜。
まるで嵐の前の静けさ。
か。【ネットストーカー】か。
と思った。あのときも。
【同性】だけど。
【同性のネットストーカー】の恐怖。
まだ【満月】になるまで時間がある。
話を聞きたい?
そう、あれは、友達の結婚式に参列を決めた時から、運命の歯車が、回り出したのだ。
続く➣➣➣➣


