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13/7/9

その1:ほたるの光とガラスのしゃぼん玉。

Image by Olia Gozha

これは、僕の生き方を左右する忘れられない出来事になった。


顔をくちゃくちゃにして泣いている青年がいた。


呼吸も満足に出来ないほどに乱れ、子供が泣きじゃくるように声を上げて泣いていた。




着ているシャツが胸のあたりからジワジワ色を変えていく、。


目から溢れんばかりの涙がしたたり、全身が熱くなって感情に全身が支配されていくのだ。





誰も居ない部屋で、何度も何度も感謝の言葉を述べて、


時を忘れるほどに、泣いて、、、。


泣いて、、、。


そのまま青年は、幸せに包まれたまま、暗闇の中に落ちていった。




遡ること暗闇の中に落ちる数日前、


青年は送迎会の輪の中にいた。


送迎会の中心人物であるはずの青年を、心から見送ってあげる人は少なく。





部長も担当の上司も、同じ部所の先輩も、


形だけの送迎会をして、


終わったら、すぐにその場は解散になった。





賑わっているはずの、飲み屋が並ぶ通り道に、


ポツンと残された青年は、何事も無かったかのように、


静かに歩きはじめた。





向かう先は、会社の寮。




ドアを開けても、誰も迎えてくれる人はいない。


会社の都合で地方に飛ばされ、


気軽に悩みを打ち明けられる人も、ほとんどいなかったようだ。





その日は、そのままベットの中に入った。

呼吸の音だけが虚しく響く部屋、、。


ベットの中で丸くなる青年。


暖かくなったのは、ベットの中だけだった。






次の日、同じ会社の寮に住んでいる人から、飲みの誘いがあった。


他の部所の部長「Yさん」が気を利かして、これも最後の機会だから、


同じ寮に住んでいる人だけで、送迎をしようというものだった。





寮には、青年と、既に形だけの送別会をした、


同じ部所の先輩や上司もいた。




呼びかけたYさんの顔を立てるために、


また形だけという気持ちで参加していた人ばかりだった。




形だけだから、1次会を終えたらすぐに人は少なくなった。


2次会以降、残ったのは、青年とYさん。


そして、Yさんの元部下のSさんの、たった3人だけだった。




こんなもんだろう。


青年は何も期待していなかった。

期待することで、心の闇が濃くなっていくことは目に見えていたからだ。



一人の大人の無責任な言葉が、

受け取った人の人生を左右してしまう事もある。


一人の大人の何気ない行動が、

その人の生き方、方向性を左右してしまうこともある。



この後の出来事は、青年にとって一生忘れられない物になった。

青年の将来の在り方を決定づける物になったからだ。



これは無鉄砲で正義感の強い、

どこか影のある少し変わった青年の話し。

あなたはすでに気づいているかもしれないけど、



その青年とは僕のこと。

青年時代の僕の実話の物語だ。



続きは

【その2:ほたるの光とガラスのしゃぼん玉。】へ


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