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東北の美しい村で特集されていた私のふるさとの話。

Image by Olia Gozha

  日本昔ばなしの、春に花が咲き乱れ、蝶が舞い、菜の花が咲き、家の近くには煌めく小川、川にはメダカ。


  田んぼが一面に広がる景色は、平成狸合戦ぽんぽこやトトロを彷彿させる。


 緑。

 夏になると濃い緑と淡い黄緑色の山々が視界を覆う。


 谷底のような位置にある私の実家は、風の谷のナウシカのように、風が強く、天気も昼間は天気予報通りだけど、夜はとても冷える。


 秋になると、山がオレンジと黄色と橙色のマダラの紅葉で彩る。


 公道は、あるけど、夜中は、シーンという無音に近い。車がほとんど通らない。静けさ。田舎育ちじゃなかったら、きっとその静寂に恐怖を覚えると思う。


  静かすぎて、人がいないんじゃないかとさえ思うからだ。



 冬は、雪が積もる。私が小学生の時代までは1mつもる。お腹まで雪。

 家から出られないこともある。小学校が休みになる。雪をスコップでほり、迷路がつくれる。


 我が家は自営業で、重機があるので、ショベルカーやブルドーザーで家の雪や公道、道路の雪かきをボランティアで祖父も父もしていた。


  土地が安い。 

 家も安い。


 都会の人がびっくりするくらい、我が家は広いけど、家も2500万くらい。知り合いの大工さんに頼めばさらに値引きして貰える。


  田舎では、お金つかうところがない。

 【家と車】くらい。娯楽もない。


 テレビくらい?

  それでも全く不満はなかった。大好きな友達がいて、大好きなおじいちゃんがいて、母親は母親の役割果たさない毒親だけど、そのぶん、父親、祖父母がいたし。


 祖母も自分の気持ち押し付ける毒親に近いものがあるけど、女系家族なのか、女はダメだったけど。


  祖父がいたし、父がいた。優しい我が家の男性陣。


 田舎特有の、仲良ければいいけど、輪からはみ出ると、村八分(差別用語だけど)もあるし、イジメもある。



 出る杭は打たれる。


  打たれるようなことをするなら突き抜けて成功し続けないと、田舎では生きていけない。


  そういうデメリットもあるけど


 毎日毎日、綺麗な景色を眺めて、綺麗な空気を吸って、遊ぶところは

 山!

 秘密基地を、つくったり、山奥の川まで探索にいくと、そこにはザリガニとか魚とか、サワガニとかいる。


 落ち葉を集めて、潜って寝るとめちゃくちゃ温かい。洋服は汚れちゃうけど。


 小学校裏のアスレチックで遊べば体力もつく。


 食べれる木の実を集めて、その木の実でママゴトをする。



 田んぼを駆け回る。


  友達には、小さなアマガエルを瓶にぎゅうぎゅうに詰めていた美少女もいたし。


 タイヤでつくった跳び箱を永遠と飛び続けたり、4つ繋げたタイヤの上に乗って、サーカスのパンダのようにタイヤの上にのって移動したり。


 衛生士の専門学校で千葉県に来た時も、実家に戻ることがめちゃくちゃ楽しみだった。友達に会ったり、自然に触れることが。


 東北大震災で、放射能で、それらがすべて壊れたけれど。



 ある日、突然、すべてを失うことを、私はずっとずっと経験してきている。


 泣いても、泣いても、それは戻らない。


 大好きなおじいちゃんや

 大好きなふるさと。


 大好きな友達。


 震災で鬱になってしまった友人たちもいる。津波に飲まれて死んだ先輩もいる。


 さようならを言えずに

 死別も生別も。別れはつらいよね。


 だから、私はずっと、このStorys.jpを消さない。ここに生きた軌跡を遺している。


  私に逢いたくなったら、ここにおいでね。ずっとずっと私はここに居るよ。

  誰かの心の支えになれたら嬉しい。

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