新人で私は都内の歯医者で働いていたのですが
一番最初の歯医者で、私は
『ヤクザの恐喝に遭う』という恐ろしい体験をしました。
まず、ヤクザさんは下っ端だろうと上のひとであろうと、対応しきれないのであれば、入口で門前払いするべきです。
院長は、穏やかで話が所ジョージのように面白い、ユーモア溢れるニコニコした院長先生でした。
優しすぎるがゆえに、院長は、下っ端でしたがヤクザさんも急患ならば受け入れていたのです。
それが、あんな事件になるとは・・・
そのヤクザさんは、『親知らずが腫れて激痛にて来訪されました』
なので、まず、レントゲン写真を勧め、痛み止めや抗生剤を進めたのです。腫れを引かせてからじゃないと抜歯もできませんし、痛みの原因を特定できません。
なのに、その方は
『レントゲン写真とるのは、嫌だ!薬を飲むのも嫌だ』と言いました。
無理じゃないですか?
痛みの原因もこれではわからないし、薬を飲まないと腫れが引くこともないです。
そしたら翌日、
高級そうな黒の乗用車を歯医者の玄関前に駐車して
ばぁん!と扉を開けたかと思うと
『ふ、ざ、けんなよ!!腫れたじゃねーか!痛いし!!どうにかしろ!』と
怒鳴り込んできたのです。
待合室にいた患者さんは、唖然。
私ももう1人の正社員の歯科衛生士よ先輩は、これはまずいと、診療室内にいる患者さんを、歯石取りをして、研磨して帰して
入口では、下っ端ヤクザさんを宥めることになりました。
院長は、顔面蒼白で、直立で硬直したまま、『はい、はい!申し訳ないです』を繰り返すばかり。
大学病院への付き添いを約束させられ、その場から去った下っ端ヤクザ。
去ったあと、院長と奥さんは話し合って、すぐさま、ミィーティングできることをし、留守番電話には、録音機能を設置し、用意周到に対策したのをいまでも覚えています。
ところが
その翌日、私が遅番の11時出勤をすると、勤務先の歯医者の入口から救急車が走り去るあとでした。
院長は、下っ端ヤクザさんの恐喝で精神的に追い詰められたのか、心臓に負担がかかってしまい、倒れて、そのま救急車搬送されてしまいました。
そして最悪なことに
真面目一筋できた院長は
そこでうつ病を発症してしまいます。
『うつ病は真面目なひとほどなりやすい』
私は新人歯科衛生士にして、ヤクザの恐喝を経験し、院長が発作で緊急搬送されたところを目撃し、そのときはなにも感じなかったけど、のちに
『恐喝』にとてつもない恐怖を感じるようになりました。トラウマといってもいいかもしれない。
『怒鳴られるとビクッ』となるようになりました。人の顔色を、伺うようにもなりました。
その歯医者は、閉院まで追い詰められ、人に手放し、いまでは別の歯科医院になっています。
ここでひとつ『教訓』があるとすれば
『自分が対応できなさそうな人は最初から、合わないと分かった時点でもいい、か関わるべからず』です。
関わってしまうと、途中で引き返せなくなったりします。軌道修正できるような状況ならいいですか、軌道修正すら無理なときもあります。
院長先生は、『自分の性格をわかっていたけど、自分に無理なヤクザ系の患者さんまで入れてしまっていた』ことで
『うつ病』にまでなりました。
『うつ病』は、自分に出来ない、不向きなことに向き合いつづけた『結果』なのかもしれない。
不向きなことは、克服するより、やらないですむ方法を偉んだろうがいい。
うつ病は、脳の病気です!
自分を追い詰めないよう
『自分自身を知る。得意不得意を知る』ことが、自分最強になるヒントかもしれません。


