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海外あちこち記 その20 パリのタクシーに乗っていた犬と運転手のプロ意識

Image by Olia Gozha

昭和50年代の初め頃の出張時のことです。

パリのタクシーの助手 

ロンドンのヒースロー空港とパリのシャルル・ドゴール空港の間は一時間ごとにシャットル便が飛んでおり、予約無しでも来た順で乗ることが出来ます。思ったより早く空港に着いたので予定より一便早い飛行機でパリに着きました。課長が先にパリに日本から着いており電話で聞いたホテルの住所をメモし、タクシーの運転手に見せてホテルに向かいました。 

乗ったタクシーの助手席には大きなコリー犬が乗っていてギョッとしました。 

空港から走り出すと沢山のタクシーが助手席に色んな大型犬を乗せてるのが見えました。タクシー強盗が多く運転手がよく殺されるので、強盗除けに乗せていると聞きましたが、皆おとなしくきちんと 座っているので、長年、動物の扱いに慣れている連中は違うなと思いました。空港から出るとYKKという看板を出した大きな工場が見えました。あちこち国の空港近くの工業団地に当時からYKKは進出していました。 

運転手のプロ意識 

パリの中心街に着きましたが、課長が予約したホテルがメモの住所に見つかりません。運転手はぐるぐる廻った後、住所の近くの大ホテルに入ってフロントに聞いてくれました。その後目指すホテルを見つけてくれましたが、大通りから一筋入った裏通りに面した宿屋のような小さなホテルでした。彼の分かりにくい英語の説明では、住所の番地が一つ違っていたそうです。ロンドンの箱型タクシーの運転手もそうでしたが、このパリのタクシーも意地でも客をちゃんと行き先に届けるという意志が背中に漂っており、この中年の運転手についチップを沢山はずんでしまいました。ホテルはトイレが共同でバスなしのBアンドBホテルした。課長は町に出たのか外出でした。チエックインして部屋に入りホットしていると課長が帰ってきましたが、一応飛行機の時間を連絡していたので、空港へ迎えに来てくれたそうです。こちらが一つ早い便に乗ったので行き違いになりました。ウイーンで日本から電話を受け、ロンドンで同行の技術屋さんを日本への飛行機で送り、その後パリへ廻ったので 、あいつ一人でちゃんと来よるかなと心配されていたみたいです。有り難くお迎えのお礼を申し上げました。 

翌朝、ホテルのクロワッサンとカフェオレだけの朝食は、パンはこんなにおいしかったんだと神戸を離れてから「山崎製パン」のパンで萎えていた舌が感激していました。 

もう一つの顔は警察国家? 

休日にシャンゼリゼを凱旋門の方へ歩いている時、突然大量の警官隊が現れ、大通りの両側にびっしり展開しました。車輌も通行止めになりました。写真を撮りに車道に出たアメリカ人観光 客が 無表情の警官に邪険に歩道に押いやられています。 

何事!!と見ていると黒塗りの大型車が何台も猛スピードで白バイの先導で飛ばしていきました。大統領のお通りでした。空にはいつのまにか武装ヘリも飛んでいました。華やかなシャンゼリゼの空気が一瞬にして変わりました。あの落差の激しさは凄かった。映画「ジャッカルの日」の一場面を目の当たりにしたような気持ちです。 映画だけでなく、実際いつも暗殺に備えた厳重な警備を布いていたようです。 

パリ警視庁の建物に連れ込まれたまま、ついに出てこない政治犯や外人犯罪者が毎年何人もいると読んだことがありましたが、ヨーロッパの他の国に比べてもフランスの支配体制維持のシステムはしっかり保持されているという話は、本当だと屋台で買ったアイスクリームを食べながら思いました。 

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