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死神から嫌われた男の話 其の2

Image by Olia Gozha

はじめに

其の一では三途の河の手前まで行ったにも関わらず、生還したという何とも信じ難い経験をしたことを書かせていただきました。読んで頂いた方々には、この場をお借りして厚く御礼申し上げたいと存じます。

其の二ということで今回も私がどれだけ嫌われてるかを書きたいと思います。


私はテレビで「事故のニュースを見たことがない」という人はいるでしょうか?

おそらく皆無だと思います。

今回は私が経験した事故についての話です。

今からさかのぼること4年前まで私はトラック運転手として生計を立てていました。

19歳で当時人気だった菅原文太さん主演の「トラック野郎の一番星」に憧れトラック運転手になった私は経験も積んでいき、大型免許を取得。晴れてトラック業界の「花形」ともいえる大型トラックの長距離ドライバーとしてデビューを果たしました。

その時30歳。

仕事はバラ仕事が多く慣れない大型でキツかったが、それ以上に関東や九州に憧れの大型トラックで走れる喜びに打ち拉がれてました。

それから数年経って仕事にも大型にも慣れて「プロ」として自覚も生まれ着々とドライバーとしての経験を積んでたある日の夜中のこと。

私は会社からの指示で夜の高速道路を走り静岡県三島市に向かっていました。

好きな音楽を聴きながらタバコを吹かしてトンネルを走行していると、ものすごい衝撃が突然襲ってきました。

「ドーーンッ❗️❗️」という衝撃音。

わけがわからずにいる私。

前を見ると、あろうことかトンネルの壁がみるみる目前に迫ってくるではないか。。

私は必死にハンドルを切り、なんとか真っ正面からの激突を回避することができるが、右側面から壁に激突して停車。

ドアは大破して開かなく、フロントから飛び降り脱出して初めて状況を把握した。

私の乗っていたトラックの後方に運転席が落ちた状態の大型トラックがもう一台停車しているのが見えた。

追突されたのだ。

私の乗っていたトラックもフロントから煙が上がっていて、運転席はグチャグチャに潰れ人が入る隙間は皆無だった。

しばらくして警察が来て、私のトラックを見て「このトラックのドライバーさんいますか?」

私「はい。私です。」

警察官「えっ?」

私「このトラックのドライバーです。」

警察官「えっ?ケガは?」

私「左足が少し痛いだけですけど。」

警察官は信じられない様子で現場検証や事情聴取。

そうこうしてるうちに救急車も到着。

救急隊員も大破したトラックと私とを見て「えっ?」

救急車にとりあえず乗り込む私に警察官が言った言葉が10年以上経った今でも忘れられない。

「私も何万件って悲惨な事故は見てきてる。普通なら死亡事故ですよ!ドライバーさん......命あってよかったなぁ......」

重い言葉をかけていただきました。



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