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2000年に女子高生だった私は精神障害者になるとは知らなかったよ①

Image by Olia Gozha

プロローグ

2000年問題を目前にしたあの頃、私は名もない女子高生の一人だった。あの頃の流行りのルーズソックスも買わず、HARUTAの革靴も脱ぎ捨てて、スニーカーを履くような、まるで「自分は周りとは違うんだ」を体現したかった自意識過剰な名もなき女子高生だった。

確かに私は周りとは違っていたかもしれない。とにかく部活と家事に明け暮れていたし、何よりも手首には何度も切ったリストカットの傷を隠していた。みんなと同じようになりたくてもなれなかった、いわゆる「家庭の事情」があった。そういう意味ではどこにでもありふれた女子高生の一人だったのかもしれない。とは言え、普通とはなんだろう?その言葉の意味を未だに知らずにいる。
周りの友達はピッチを持って、短いメッセージを送りあう。今でこそ色々なSNSでやりとりができる世の中だが、その当時の私たちには短いメッセージとワン切りが主なやりとりだった。

その時代に私は文通をクラス内でしていた。相手はのちに彼氏になる人だった。その文通を私は長い時間捨てることができずにいたが、数年前に破り捨てることにした。ある日突然のことだった。
2000年問題など知らなかった私に2000年問題を教えてくれたのも彼だったし、彼との文通を通してそんなことが世の中を騒がしていることも知った。
もうあれから20年が経ったのか。長かったようなすぐそこにあるような何とも言えない気持ちにする、あの青春時代をよく思い出す。

高校生の思い出といったら何が一般的なのだろうかと、私には見当もつかない。部活、文化祭に体育祭、修学旅行や受験勉強。確かに私にとってもどれも思い出深いことが多い。けれど何かが違う。
家事に明け暮れる高校生は少ないだろうけど、今もきっといるだろう「居場所を失った思春期の子どもたち」の存在に想いをふけるアラフォーの私。

そんな彼らに私の物語はどう映るだろうか?

家族との葛藤、仲間との葛藤や距離感、友達と呼べる存在、恩師となる教師の存在、いつも私を心配していた先輩たち。
使い古した学園ドラマにもならないたったひとつの名もない一人の高校生の物語。
今のあなたにはどう映るだろうか。

のちに精神障害者となる私の高校時代の物語を。

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この国では毎年3万人近くの自殺者が出る。もしかしたら私もその一人だったかもしれない。

しかし運よく生き残った。生き残った精神障害者の一人である。
今でも精神障害者への偏見もあるだろうし、それは症状故に仕方のないことなのかもしれない。それでも一人の人間として生きている私が居る。

多くの人が勘違いをしていることに気が付いていないのかもしれない。もしあなたが、あなたの近くの人が、家族が、恋人が、友人が精神障害を持つかもしれないということをあなたは知らない。
いや、知っているのかもしれないけれど、「まさか、そんなことは起こらない」と思いたがっているのかもしれない。それは当たり前だから仕方ない。私だって好きで精神障害者になったわけではないし。

しかし、これは遠い世界の物語ではないことは確かである。もしかしたら、隣にいる誰かの物語かもしれないのだから。


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