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【フランスの森の中⑪】上裸でドレッドな妻子持ちヒッピーと、廃バスの中で成立した英国人カップルたちと、テントの中で「人間失格」を読みふける僕(19)と、時々犬連れてるおっさん。

Image by Olia Gozha

C'est quoi, ça?

人間失格を読みふける(正確には聞きふける)ことで、心の均衡を保つというちょっと危ない僕だったが、もう一つ自分を勇気づけてくれる存在があった。ジペの娘さん(2歳くらい?)だ。僕の名誉のために言っておくが、ロり的な意味ではない。非常に情けない話だが、彼女とレベルが全く一緒なのだ。何が、というと言語的なレベルだ。さすがにまだほぼほぼ喋れない彼女とは違い、どうにかしてあーだこーだ伝えようとするのだが、語彙力や理解力という意味では、結構同じレベルなのだ。

働いている合間の休憩時間はコーヒー飲んだりしながら適当にソファでぐだるのだが、娘さんがその辺で遊んでいるので、みんなであやしたりしている。彼女は色んなことが気になる年ごろらしく、いろんなものをめちゃくちゃ興味津々に触ったり、確かめたりしている。自分がアジア人とか、フランス語が通じないとかはあまり理解していないのか、よくわからなかったが、時々自分が絵本を読み聞かせたりもしていた。その中で、一番ありがたかったのは、みんなに対して、「これは何?(ça?)」を聞きまくっていたことだ。これが、自分でいちいち聞きまくるのもな、というものを代わりに全部聞いてくれたのだ。もちろん、子供なのでみんな優しく何でも答えてくれる。へー、そうやって言うのか、と僕の語彙力もうなぎのぼりしていった。もちろん、自分も答えられることはどや顔で答えた。


ちょっと説教臭い話になるが、言葉はこうやって覚えるのだ。机に向かってカリカリしたり、単語帳開いたりしても、語彙力は伸びない。日々の生活の中で、意味付けしていくのだ。ストーリーだ。もちろん、娘さんのこれ何攻撃だけではないのだ。自分自身、一緒に働くうえで、必死で覚えないと仕事についていけない。わからない場合は一回聞いて、覚えてないとだめだ。ただ、覚えたのは、釘もってきて、とかノコギリ持ってきて、みたいなその後使うかよくわからない専門用語ばっかりだったが(笑)

こういう生活を通して、徐々にそもそもの目的だった、フランス語上達ということに少しずつ手ごたえを感じていく。ただし、まだまだ晩御飯中の語らいなど理解できるはずもなく、寂しさを覚えつつ、一人テントに行って就寝前に人間失格を聞きながら心を整える僕だった…。

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Image by Jukka Aalho

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