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【フランスの森の中⑧】上裸でドレッドな妻子持ちヒッピーと、廃バスの中で成立した英国人カップルたちと、テントの中で「人間失格」を読みふける僕(19)と、時々犬連れてるおっさん。

Image by Olia Gozha

Donner et Prendre!

2日目の夜。疲れに疲れた。休みながらとはいえ、よーく晴れた夏の日に、外で藁のブロックを延々と運んだ。みんながしゃべっている会話についていけない。も~疲れた。

つまり、ビールが美味い。晩御飯は結局みんなで作る。ジペの奥さんも手伝ってくれるし、結局自分はなんか指示を受けて野菜切ったり水くんだり。後は食後にコーヒー淹れる係になぜか落ち着いた。この日はトマトで煮込んだスープ。最高に美味い。この生活は基本ベジタリアンだ。とはいえ、牛乳とか飲めるし、バター使うし、割とラフな方。

ちなみにお風呂もあるよ。お湯は出ないけど。というよりシャワールームだ。水道はひいてある(契約しているのかは謎…)ので流し台にも水は流れてるし、シャワーも使える。ただし、冷水なのでお昼のうちに汗と一緒に流しておくイメージ。2週間の中で、1回だけジペがシャワー浴びている姿を見かけたよ!☆彡ドレッドはほどけていなかったので、たぶん髪は洗っていないと思うよ!☆彡そんな状況で、実は最終日にジペにあるお願いをするのだが、それはまた後の話にとっておくとする…。

2日目の夜は更けていき、3日目が訪れた。当然誰も起きてこないのでジペ待ち。めっちゃ美味い朝ごはん(ナン)を一番に食らいつく。慣れたような慣れないような感覚…。今日はなぜかわからないが、選抜メンバーでどこかへ出かけるという。ジペとジペの奥さん、子供2名、メアリ、僕というメンバーでおんぼろワゴンに乗り込んでどこかの町へ出かけていく。着いたのは大きくはない田舎町のとある可愛い木のお家。出迎えてくれたのは、ジペ2号!兄弟ではないと思うが、同じような長髪ドレッドとひげ面のおっさん。もちろん上半身裸だ。奥さんもヒッピーっぽく、ドレッドヘアー。服は身に着けていたが、コーヒーの麻袋みたいな素材のシャツにタイパンツだった。

つたなくもメアリ姉さんの翻訳によると、今日はヒッピー仲間の家に遊びにお出かけ&お手伝いだそう。可愛いお家も実は自分たちで作ったそうで、ところどころ素人感のある内装だった。木とかレンガに手作り感満載のペンキを塗っている感じだ。造りもどことなくホビットの家に出てきそうなコンパクトでアースエコロジックな感じ。子供も大きく6歳くらいで、何か叫びながらはしゃいでいる。ジペ家の娘さんと一緒に楽し気に走りまわる。言っている意味はわからないが、アジア人が認識できるようで、物珍しそうに話しかけてくる。おそらくヒッピー暮らしの先輩家族なんだろう。有機農業の畑も持っており、作り方なんかをジペは詳しく質問したりしていた。

お手伝いについては、まずは物置小屋にあるガラクタの出し入れと掃除だそう。なんでもフリーマーケットに出すのだとか。正直、何があったか覚えていない(というよりは何の用途のものなのかわからないアイテム)をひたすら小屋に出しては、いる・いらないとか選別していた。簡単そうに見えて、モノがいちいち重い。バケツリレーで運ぶが自分の担当が小屋の中で、ほこりが凄すぎて辛い。喘息持ちなら一発アウト。この時点では上記のようなお手伝いについて一切意味わかってなかったので、「僕は何をやらされてるのだろう、他人の家で…」と内心不安だった。言葉がわからないとはいえ、言われるがままって奴隷みたいですごく怖い。ランチはなんか忘れたけど、たぶんベジタリアンなパスタだった。普通に美味い。

午後は畑を耕すのを手伝う。これも結構重労働で腰にくる。基本手伝うのは自分とメアリーとジペ。ジペは鬼のように体力があり、笑顔で無尽蔵に動き続ける。だったら、真面目に働けよ、と思ったがどうやら信条の問題のようだ。ジペ曰く、ヒッピー同士はこうしてギブアンドテイクで労働をしたり、情報を交換するのだそう。ジペの家でも小規模ながらもトマトなどを育てているので、それについてノウハウをいろいろ教えてもらっているようだ。

夕方、お手伝いを終えて、森の中へ戻る。留守番してたジョンとおっさんはもくもくと藁のブロック運びをしていたようだ。なるほど、むさくるしいコンビが居残ることになったのね。

こうして3日目も無事生き残り、終わることができた。ただし、ここまでほとんど、その時点では、今書いているようなことは理解できていない。後になってフランス社会を知り、そういうことね、と理解できたり、イギリス人の二人が訳してくれる英語をおぼろげながら理解していただけだ。ただただ、働く。飲んで食べる。そんな移民労働者みたいな生活をしていくため、どんどん心がすり減っていくことになる…。

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