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②−②旅行に行ってから別れるまでー8年間付き合った同性のフィリピン人の彼氏に浮気されましたー

Image by Olia Gozha

New Zealandに帰ってきて、5日目。

自分の中で、気持ちは決まった。もう終わりにしないといけないんだって。 

朝、彼と同じタイミングで目が覚めた。

だから、 今日がきっと話すタイミングなんだろう。

 声をかけた。

 今から話そうか。

 彼も頷く。

 こちらから話すつもりだったのに、彼から話を始める。

ここ数ヶ月、僕に申し訳ないと思っていたということ。

今はキャリアに集中したくて、自由が欲しいということ。

ずっと別れたかったけど、僕が8年間を無駄にしたと思うんじゃないかと思うのが怖くていえなかったこと。

 すごく落ち着いて話を聞けた。

 僕も話をする。

ここ数ヶ月本当に辛かったこと。

毎日が地獄のようでたまらなく辛かったということ。

ただ、あなたが日本を去ってから心がすっと軽くなったこと。

あなたがNZに僕が帰ってきた日に帰ってこなかったとき、何も思わなかったこと。だから、別れてもいいと思えたこと。

ただ、8年間を僕は無駄だなんて少しも思わなかったこと。

愛していたし、愛されていたことは確かだったこと。

幸せな瞬間はたくさんあったこと。

 

二人でハグをする。

 

ハグをしながら、彼は僕の胸元で泣く。

 

僕が一人で語りかける。

二人が初めて会った日の事。

遠距離恋愛をして、初めて僕がフィリピンの空港に降り立った時に、
彼がケーキとチーズバーガーを持って待っててくれた事。

160センチしかない彼は、目立つようにと黄色のT-シャツをきて、精いっぱい大きく手を振って迎え入れてくれたこと。初めて会ったその日に、すぐに夜行バスに乗って彼の実家にいった時のこと。

たくさんの思い出を作って、幸せだった事。

たくさんの幸せな出来事があって、僕はすごく幸せだった事。

彼が僕の胸元でむせび泣く。

 

泣きたかったのはこっちだったのに、と思った。

でも、愛していたんだな、幸せだったんだな、って。

 

いろんなことがもちろんあったのだけど、

8年間、総じて幸せだった、と最後に今こうやって思えたのなら幸せだったのかな。

それはわからないし、彼がやったことは許せたわけではやっぱりなくて。

 

彼には一言、伝えた。

 

あなたはあなたのセフレだか彼氏だかをうちの実家に泊まらせて、

うちの両親の好意を利用した、それだけが僕は一番どうしても許せなかった。

 

彼は謝罪をしてくれた。

 

2人で買った家のことなど、まだ話し合いはちゃんとできていないのだけれど、公平に話はできそう、そんな雰囲気を感じた。

 

愛していたんだな、って。

本当に愛していたんだなって。

 

それだけはきっと確かだったんだなって。

 

そうだよな。8年間、だもんな。21から29まで。20代、ほとんど。

無駄だったなんてそんなこときっとない。

 

彼と二人で指輪を机に置いた。

僕は家を後にした。

 

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