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彼氏と彼氏の彼氏と旅行に行った時の話。ーNZに移住までしたのに8年間付き合った同性のフィリピン人の彼氏に浮気されましたー

Image by Olia Gozha


元彼と出会ったのは、大学4年生、21歳の時。2012年の時だ。


それから別れたのが3ヶ月前で29才の時だから、8年付き合った。二人とも同い年。


僕は大学を卒業してフィリピンに引っ越し、そのあとはニュージーランドにまで引っ越した。

今は別れて、僕は1人日本に帰ってきた。


そんな僕らがどうやって出会い、なんで別れることになったのか少しお話させてください。タイトルの通り、男同士の恋愛の話です。



僕らが、出会ったきっかけはオンライン英会話。

ちょうど英語の勉強をはじめた僕は、いつもかっこいいフィリピン人の男性を先生に指名していた。数週間続けるうちに、お気に入りの先生も見つかり、毎日ウハウハな日々を過ごしていた。


ただ、忘れもしない2012年7月7日。

その先生がドタキャンした。

その代わりに、他のフィリピン人の先生が代理でやってきた。


一目見た瞬間、ゲイダーが察知した。


僕らはすぐに、お互いがゲイであることに気づいて意気投合した。


その日から付き合い始めることになる。



大学4年生で大学院に行くことを目論み気ままに生きていた僕は、彼の国フィリピンにすぐに移り住んだ。

 

日本で就職することもなかったけど、当時は夢にあふれていた。


彼に会って海外に住む決心をした僕は、友人や家族にゲイであることをカミングアウトした。


これから何にも恐れずに誰にも差別されずに生きていける。

諦めていた誰かと家族を作る。

そんな夢まで現実になる、そんな気がした。

 

誰かと一緒にいること、それがこんなに力をくれるなんて。

これから幸せになる未来を夢見て移住した。

 

フィリピンに移住して1年間。幸せな日々が続く。

4畳半の狭い部屋に2段ベッドを買って、そこに彼の友人のレズビアンカップルと一緒に4人での共同生活。アパート代、4人で1万円。夢にあふれていた。


それから、彼がニュージーランドで仕事を見つけて、ニュージーランドに移住した。

24のときだ。

 

二人が法的に一緒にいられる国に移住できたことが嬉しかった。

 

彼の仕事の関係で、永住権もすんなり得られた。

 

 特にスキルも資格もなかったけれど、

彼と生きられること、それだけで幸せだった。

 

ニュージーランドに引っ越して、4年近くたち、

2人で、これから結婚して代理母で子供を作ろうという話になった。


ちょうどニュージーランドでゲイカップルの国会議員が代理母で子供を産んだ時期だ。


僕の家族や彼の家族も巻き込んで、どうやって赤ちゃんを授かれるか、毎日毎日話していた。うちの妹が代理母になってくれる。そんな話までしていた。


幸せだったのだ。


毎日が幸せで愛おしかった

 

幸せではあったけれど、僕らはセックスレスだった。

セックスの相性はさぼどよくなかったみたいで、徐々に回数は減り、多くても最後の方は1ヶ月に1回ほど。それも、セックスという代物とは言えないような。

 

それでも僕はよかった。

セックスじゃないところで結ばれてるそう思ってた。喧嘩はよくするけれど、なんだかんだ前に進めてる、そう思ってた。

赤ちゃんを作って本当の家族になる。描いていた幸せな家族を作るそう思っていた。僕らはもう二人は家族になったんだろうと思っていた。

 

8年間だっていろんなことがあったけれど、それでもここまでこれた僕らは固い絆が結ばれている、そう思った。

 

ただ、彼氏と2019年の6月、

ちょうど7年目が始まったくらいから、ぎこちなくなった。


彼の職場が田舎から都会に変わり、夜遊びが増えた。


セックスの回数なんてますます減った。コミュニケーションの数も減った。

 

二人でいても話すことは減った。何を話していいかがわからなくなった。

 

ただ、僕らはすでに代理母のことを進めて二人でたくさん調べて病院にも行った。弁護士も雇っていた。

まだ、愛されていると思っていた。

だから、いまはそういう時期なのだろう、と思っていた。夜遊びがしたい時期。都会に移って楽しいのだろう。

 

それから少しして彼氏は代理母の話をすることをやめた。

結婚式の話もやめた。

 

ただ、夜遊びはもっと増えた。

朝帰りか、帰ってきても朝の3時とか4時過ぎになった。

  

それから喧嘩をするたび、別れよう、と言ってきた。

本気で言ってるんだろうな、と思った。

 

いつも泣きながら謝った。

 

大丈夫だから、僕が変わるから。

 

彼はそれで許してくれた。

許してくれたから大丈夫なのだろうと思った。

 

でも、陰で自傷を止められなくなって行った。

彼氏に何か言われると、ちょっと外に出てくるわ、

なんていって過呼吸が収まらなくなって、車の中で自分の顔を思いっきり殴った。

顔が耳が腫れるくらい殴った。

そうすると、感情の昂りがおさまった。

 

彼氏には一度見られたことがある。

 

別れよう、といわれた。

そんな精神状態じゃ幸せになれない。

 

ごめん。初めてやったし、もうやらないから許して。

 

泣いてすがった。

 

ただ、それでも彼氏とは年末6週間の有給を取って海外旅行に行く計画を立てていた。まだ一緒にいてくれるんだな、この人と未来があるんだな、そう思った。フィリピンと日本への里帰り。


僕ら二人の仲の良い友人達の何人かもそのうちの3週間ほど合流することが決まった。


フィリピンを2週間旅行してから、日本を4週間旅行するそう決まった。

 

ただ、彼はフィリピンに行く前に、友人と2週間旅行に行きたいと伝えてきた。そのあと、僕との6週間の旅行にその友人と合流したい。そう伝えてきた。

インドネシアに行きたいから、とのこと。


僕も行きたいならいいよ、と伝えた。

一応、こちらも誘われたけど、8週間も有給は取れないから、友人と行って来なね。そう伝えた。

 


旅行の計画も立てながら、10月に入った。


 

彼の誕生日。

自宅でホームパーティーをした。

 

誕生日会は盛り上がっていた。

初めて見る顔がたくさんあった。30人くらいいたかな。

あー彼はもう知らない世界にいるんだ、なんて悲しくなりながらもお酒をたくさん飲んだ。

 

トイレに行った。夜中の二時過ぎ。

知らない人ばかりだし、彼氏なのに彼氏じゃないような、知らない人のパーティーに紛れ込んでしまったそんな気分だった。


まだパーティは続いていた。

続くパーティーを横目にお手洗いをした。


酔っていたこともあり、トイレの鍵を閉め忘れていた。 


その鍵を閉め忘れたトイレに、

男の人が二人入ってきた。


キスをしていた。

 

彼氏とその旅行相手だった。

 

目があった。驚きながらキスをやめた。

 

めまいがした。何も言えず、

ごめん、もう寝るね。なんて言って部屋に入った。

 

次の日、彼は全てを否定した。

酔っ払ってたまたまキスをしただけ。

意味なんかない。

それにあいつはストレート(女が好きな男の人)だと言い張った。

 

僕はそれを信じる以外になかった。

 

信じるフリをするしかなかった。

泣いて叫びたかったのだけれど、泣いて叫んで別れようなんていわれるのが怖すぎて。

 

ただ、その友人とは旅行には行って欲しくない。そう伝えた。

 

するとお、わがままだ、と言われた。

チケットはもう買ってある。

今更、予定を変えるのはお前のわがままだ。

 

わがまま、なのかな。

わがまま、なのかな。よくわからなかった。

 

でも、うちの彼は賢い。頭がいい。間違いを絶対に認めない。悪かったなんて言わない。二人で話してくると、あー自分が悪いのかも、と思ってくる。8年間、僕がいつも謝ってきた。謝れば謝ってくれた。だから、今回も謝った。

 

ごめんね。ただ、旅行まで会わないでおいて、その人と。

 

それでもいい?と聞くと了承してくれた。

 

その話を数日経ち、

ゲイの友人に話した。そのゲイの友人は、僕の職場の人だから、元彼のことも元彼のそのキスした相手のことも知らない。

 

そのゲイの友人が、そのキスした相手、どんな見た目?

 

Facebookの写真を見せる。

 

その友人が、俺こいつとこないだGrindr(ゲイのアプリ)でメッセージしたよ。と教えてくれた。

 

気が狂いそうになった。

嘘だったんだ。ゲイだったじゃん。

 

彼氏に問いただした。

 

知らなかった。そう言われた。

本当に知らなかった、そう言われた。

 

信じた。

 

でも、ひとつだけ。彼との旅行やっぱりやめてほしい、頼んでみた。

わがままかもしれないけど、行って欲しくない。ごめん。

もうゲイだとわかってしまった以上、辛くて耐えられないからごめん。

 

彼氏は了承してくれた。

俺はオーストラリアに代わりに旅行に行くからと、シドニー行きのチケットを買い直してくれた。

 

それでもういいとおもった。感謝した。

僕のことまだ好きなんだ、そう思った。

 

12月に入り、旅行も近づいてきた。

彼氏が出張で別の都市に出かけた時、衝動に駆られた。


気がついたらGrindrをダウンロードしてた。

そのアプリは、居場所検索ができる。

彼氏のことをちゃんと信じるためにも、

彼の今のいるホテル周辺で検索してみた。

 

ビンゴだった。

 

僕の彼氏がアプリ上にいた。

顔写真じゃなかったけど、彼だった。

僕らの部屋で撮った写真。

一番下の棚が壊れた洋服タンスの前で撮った写真。

一緒に買ったパンツ一枚で撮った写真。

めまいがした。


吐いて叫んだ。

 

数日経って帰ってきた彼氏に聞いてみた。

 

写真を見せて、これについて説明して、お願い。

 

彼は言った。

 

説明することなんて何もなくてその通りだよ。

 

去年の6月から使って、何人かと実際出会ってやった。


やった相手の写真も見せられた。

 

でも、気持ちはない。好きなのはお前だけだ。

 

その気持ちを信じた。だから、僕はまたすがるように聞いた。

こないだキスした相手とは、本当にここで会ったんじゃないんだよね。

 

違うよ。会社関連のイベントであったんだよ。

本気で何にもない。

 

わかった、というしかなかった。


彼がアプリをやめるとかやめないとか、そのことには触れられなかった。

それを言ったら別れようと言われそうで言えなかった。

 

ふと、その日の夜、8月に彼氏と久しぶりにキスをした時のことを思い出した。


久しぶりのキスもいいね。と言ったら、

彼はこう言った。ほら、俺ってうまいから。

 

そのことを思い出して吐いた。誰かに言われたのかな。

誰かとあの時もう陰でキスしてたんだな、なんて悲しくなってまた傷ついた。

 

数日後、それでも何かにすがりたくて、考えて考えて、彼に伝えた。

 

オープンリレーションシップにしよう?半年様子見て決めよう?


僕は、彼が他の男とセックスすることを容認するオープンリレーションシップにしてまで、彼と一緒に居たかったのだ。

 

彼は前向きに賛成した。

 

いくつか条件をつけた。


家ではやらないこと。

友人とはやらないこと。

 

賛成してくれた。

 

これでまだ一緒にいられると思った。

 

僕もアプリをいれて、近所の人と節句巣をした。

その夜、車を運転しながら泣いた。


欲しいのはセックスなんかじゃない。

 

愛されたい、車の中で泣いた。

 

泣きじゃくった。

 


それから、彼氏が旅行の1週間前くらいに尋ねてきた。

 

やっぱりインドネシアにその人と旅行に行ってもいい?

 

 

僕は答えた。いいよ。

友達とはやらないって約束したんだから、いいよ。行ってきても。信じてるから。

 

彼は、本当に何もないから。と念押しした。

それから付け加えるようにこう行った。でも、結局インドネシアに行くなら、無理やり買わされたシドニー行きのチケット無駄になっちゃったね、と少し責めるように僕に言った。

 

あのチケット、僕が無理やり買わせたんだな。

そうかもしれないな。

 

2週間泣きたくなるような日々を毎日過ごし、 

そして、僕の旅行も始まった。

 

旅行は楽しくなかった。

 

彼氏とその相手が二人でいることを見ると涙が出てきた。

二人はいつも一緒だった。楽しそうだった。二人の間に割って入るのが申し訳なくて。バスも飛行機も全て隣同士。

 

フィリピンから日本に来ると、ニュージーランドから他の友人たちも合流した。その人たちと彼氏と彼氏の彼氏も含めて、うちの実家にも招待した。うちの親は車も出してくれて、成田や羽田まで友人達を迎えに行ってくれた。夜ご飯や宿泊場所、横浜に観光も連れて行ってくれた。

 

辛かった。

 

他の友人たちに元気がないね、なんて思われるのが嫌で明るく明るく振る舞った。

 

それからまた旅行は続き、その彼氏の相手は他の人より早くニュージーランドに戻った。

彼氏は空港まで見送りに行った。


その晩、一緒に旅行しているニュージーランドから来ている友人の一人が酔っ払ってぽろっといった。

 

去年の6月からの真実を教えてくれた。

二人がセフレであること、そして気持ちがあること、僕と別れたら付き合うつもりなこと。彼氏の相手は別れたら付き合うといってること。彼氏はまだ気持ちに決着がつかないこと。


そして、旅行にきてる人たちの何人かは知ってるよ。って。

君がかわいそうに思えたから教えてあげる。

 

裏切られた、と思った。

みんなに裏切られた、と思った。

知ってた人たちは、笑いものにしてたんだ、と思った。

あいつも馬鹿だなー気づかないでニコニコやって親にまで金出させてるよ。って。

 

深夜だったけど彼氏を起こして、問いただした。

 

全部教えてほしい。

 

彼氏はこういった。

 

否定も肯定もしない。何も言わない。

 

彼は本当に何も言ってくれなかった。

30分、何も一言も答えてくれなかった。

 

僕が泣き崩れても何も答えてくれなかった。

ハグだけしてくれた。ずるいと思った。僕らの8年間はこんなものだったのか、と思って泣いた。

ハグされてまた感情がぐらついて泣いた。

ただ、それが答えなんだと思った。

 

選択肢をくれた、半年様子まだみるか、旅行を続けるか、続けないか(いま、別れるか別れないか)

僕が決めていいよ。そう言われた。

ただ、一言、もう君が思ってる以上のことは別れてもいいように準備してるよ。

 

半年様子みたい。そう答えた。

 

彼氏も了承した。

 

 

それから旅を続けながら、別れるカウントダウンをしているみたいだな、なんて毎日思っていた。音楽アプリで中島みゆきの化粧を毎日聞いていた。

 

馬鹿だね、馬鹿だね、馬鹿だね。

馬鹿のくせに、愛してもらうつもりでいたなんて。

 

自分が愛されると思っていたなんて、本当に馬鹿だったんだな、その時は毎日思っていた。 

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