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大会前日、俺は二人を焼肉に誘った。
最後の景気付けだ。
そして、今までのことを振り返った。
色々なことがあった。
始めの時から思えば、ここまで二人が付いて来ると思っていなかったし、ここまで成長するとは思っていなかった。
よくぞここまで成長した。
思えば、約一年前。
杉本の提案から始まったこの団体戦。
同じ部員の仲間ありながら、一つの師弟関係のような関係でもあった。
そして俺から二人にプレゼントをあげた。
扇子だ。
明日はこれをもって戦いに挑もう。
杉本には振り飛車党の名手、藤井システムこと藤井先生
北里にはゴリゴリの本格派居飛車党の渡辺先生
の扇子をあげた。
三人で奮起して一つの約束した。
「最後に、師匠としてではなく、チームのメンバーとして。安心して戦ってほしい。俺は絶対に負けない。約束する。俺は必ず全焼する。だから、あとはお前らで勝て。そうすれば必ず全国にいける。全国の切符はお前らが決めろ。俺は誰が相手でも絶対に負けないから。宇高右四間使いに当たったとしても必ず勝つ。だからお前らは安心して、自分が勝つことに専念しよう。自分たちのやれることをしっかりやろう。俺たちはチームだ。」
二人は感動してくれたようで、一切負けることは考えなくなっていた。
絶対に勝つぞと。
全国に行くんだと。
夢なんかじゃないんだって。
本気でビジョン共有できた瞬間だった。
そして最後の大会が始まった。
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