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将棋 プロ挫折後11

Image by Olia Gozha

2年最後の大会。将棋部として最後の個人戦。

三年の時には団体戦に出ると決めていたからだ。

俺たち三人は全員予選突破は余裕だった。


しかし本戦ではそれぞれ試練が待ち受けていた。

そして、俺のブロックは死のブロックと呼ばれたブロックに入ってしまった。

初日準決勝まで行われるが、関東大会に出場するためには

一回戦、前回ベスト8、宇高の上位者の三間党

二回戦、前回ベスト4の石田流の使い手、栃木高校

三回戦、昨年度この関東予選3位決定戦で戦った居飛車の歩君

そして準々決勝では因縁の相手、島田だった。

ベスト4常連の三強のうち確実に一人が消える組み合わせになったのだった。


大会は予想通りの展開となった。

一回戦で三間党に勝ち、二回戦はやはり石田流使い。この日のためと言っても過言ではない。二度と作戦負けをしないよう、きっちり石田流対策は行っていた。


出した答えは相三間。


力戦の空中戦。

実力勝負を挑んだ。


そして実力でねじ伏せることができた。これは杉本と相振りをやっていた効果がはっきり出た瞬間だと感じた。


三回戦

久しぶりの歩君。居飛車であることは初めから知っていたこともあり、ここで必殺の立石流使って見事圧勝。綺麗に決まった。


だが、三戦連続で強敵と戦った疲れが出たか、脳はくたびれていた。


合間時間に外でチョコを食べようとしたが喉が通らない。

近くにいた杉本は俺のことを心配した。


杉本「おい、こんなんで戦えるのか?次はあの島田だぞ。」


俺「大丈夫。勝つ。勝ってみせるさ。落ち着いたら行く。」


杉本「そうか。勝って俺に希望を見せてくれ」


俺「もちろんだ。」


時間が経って、会場から探しに来た人が来た。

「もうそろそろ対局しないと不戦敗になるぞ。早く来なさい。」


会場に向かうと、俺と島田以外の対局は全て終わり、その場にいた人間全員がテーブルを囲って待っていた。

そして、島田は笑いながら駒を振りながら待っていた。


因縁の勝負。

島田とは二戦目。前回は俺の負け。そして公式戦では初対局。


「決着をつけてやる。」


島田は高校生になってからまだ一度も二日目に残れなかったという経験がない。必ずベスト4以上には残っている。また決勝戦の常連だ。


俺にとって、同年代で最も勝ちたい相手。

初めてのライバルと言える存在。


それが島田だった。











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