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将棋 プロ挫折後2

Image by Olia Gozha

一週間経ち、大会会場に来ていた。


なんでこんなところに来る羽目になってしまったんだか、、、

とはいえ出る以上はモチベーションあげてしっかりやろう。


髪はワックスでツンツンにしてセット。

扇子は大好きな大山先生の扇子。

飲み物はビタミンウォーター。

一種のゲン担ぎみたいなものだが、これがメンタル的には最高の状態。

髪の毛ツンツンにして、こんなくる将棋指しなんてもちろん大会には誰もいない。


浮いてた。。。


大会の流れはこうだ。

予選グループ、3戦中2勝したら本戦出場。

本戦はトーナメント式で、準決勝と決勝は翌日行われる。良い棋譜は地元の下野新聞にも載る。


俺「そういえば、同年代の大会に出るの、初めてだな。居酒屋とか道場のおっさんたちとしか指したことないから、どんなレベルなんだろうな。」


予選は連勝で簡単に突破。

将棋部で指した時もそうだが、久しぶりに駒を触る感触が懐かしすぎて、一手目は指すまでにしばらく駒を愛でていた。


相手からしたら、頭おかしい奴にしか見えなかったでしょう。

問題の本戦だが、大会となると有名なやつもいた。俺はもちろんしらなかったが、いつも2日目に残る常連の3強がいた。

当時の俺は高校一年。その時すでに有名だったのは3年の先輩と同学年の沢村、島田という3人で、研修会に通うようなメンツのようだった。

奨励会を目指していたレベルはこの3人。

俺と同じ道を、、、


今回はその3強と当たることもなく、順調に進んだこともあり難なく準決勝まで残ってしまった。


この時素直に思ったのは

「子供のレベルはこんなに低いのか。」

4年ぶりに指してもこのレベルだったら急に指しても勝てる。

1日目の最後なんかは会場の人全員がテーブルを囲んで観戦していたこともあり、初出場で初勝ち残りのこともあって栃木の高校将棋部では少し名が知れた。


2日目、流石にここまで残った連中は強かった。日頃将棋を指している人間と、指していない人間では頭の回転が違うことはいうまでもない。

頭が全然回らない。小学生の時ほど、深く読むことができない。


脳の中で勝手に駒が動かない。


今まで将棋から逃げてしまったのだから、しょうがない。

そんな俺が将棋を指すのを、将棋は許してくれていない感じだった。


最終盤、時間がなくなり秒読み。相振り飛車の空中戦で、最後まで形勢互角のまま進んだが、最後相手に詰みがあったのを読み切れず、負けました。

言い訳に過ぎないが、現役なら絶対に読み切れる内容だったが、この時はもう読めない。最後は感覚だけで指していた。


結果は3位入賞。


内容が良かったこともあり、下野新聞にも掲載された。

部員、顧問も含め学校のお偉いさんたちもみんな喜んでいたが、俺にとってはどうでも良かった。


これで終わり。

俺はもう指さない。


そう思った時、大会運営から思いもしない話があった。


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