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ガソリンスタンド経営者だった夫がガンを患って木工作家になっちゃったお話最終話

Image by Olia Gozha

■念願のギャラリー新築!

ARI.ウッドスタジオをスタートしてから9年目の2015年。

わたしたちは作業場敷地内に、念願のギャラリーを構えました。

それまでお客様をお迎えすることがありがたくも申し訳ない環境だったので、ようやく「welcome!」な状態でお客様をお迎えできるようになりました。

ギャラリーを構えたことで地元での認知度も少しずつ上がってきたように思います。

時は流れ、そのギャラリーも今年オープン4周年を迎えました。

コンテナの展示室は、いまも同じ場所で倉庫として使っています。

夫が一人で改装した作業場は、いまも古いまま、開業当時に揃えた古い機械に囲まれて作業をしています。

作品は小物から家具まで、オーダー制作とオリジナルの作品制作に励む日々です。

夫はいまも定期検査を続けて、その後 幸い再発もなく過ごせています。

昨年、夫の父を看取りました。

ひとり息子は現在高校3年生。

抗がんの影響でふたりめの子どもを授かることは結局できませんでした。

息子も心臓のケアは続いていて運動制限もありますが、パッと見、心臓が悪いなんて思わせないほど元気に育ちました。好きなことを仕事にしている父親の背中を見ながら育った息子は、彼もまた好きな道に進んでいくようです。

来年には家を離れ、希望する進学先へと進んでいくことでしょう。

来年の春から私たちは結婚して初めて夫婦ふたりの生活になります。高齢の父と息子のことがあり、個展も九州内でしか行ったことがないARI.ウッドスタジオですが、来年以降はもっと幅広く動き、いつか海外にまで行ってみたいなという野望を抱いています。


長く書いてきましたが、わたしたちのこれまでのストーリーはそろそろ終わりです。


生きていること、好きな仕事ができること。

命と向き合った時間のおかげで、いつも「今 在る幸せ」に感謝が湧きます。

日常として何気なく過ぎる時間の中で、時々立ち止まり、当時を思い出して原点に戻ります。

すべては生きていられるからこそ。

今を大切に。


夫が「残りの人生」をかけたARI.ウッドスタジオをスタートして14年目に入りました。

まだまだやりたいことはたくさん。

これからもわたしたちは心が望む方向へ舵を切り、この人生をより楽しめたらいいなと思っています。

夫と生きていく人生はおもしろいとわたしは思っています。


人生に起こること、すべて無駄ではない。

夫がよく言う言葉です。

自分のこととして命に向きあい、生まれ育った環境から新たな人生を切り拓いた夫は、わたし以上に様々な想いがあることでしょう。

夫の無骨な手から生み出される、木のやさしさと温もりが伝わる作品たち。暮らしの中でさりげない存在感を放つデザイン。わたしは夫の作品の1番のファンです。

これからもまた その手から新しい作品がうみだされていくことが楽しみです。

商売を生業にする家に生まれ、ガンという経験を得てたどり着いた木工作家という職業。

夫の天職だとわたしは思っています。


〈完〉


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いつかどこかの街でARI.ウッドスタジオに出会っていただけますように。





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