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自分の人生を生きるということ

Image by Olia Gozha

「ガンっっっ!!!」



とてつもなく大きな音が響き渡った。




そして僕は、会社を辞めた。

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僕は大学進学とともに地元をはなれた。

高校までは、勉強もできたし、

部活もそれなりにやっていた。


もともと要領がいいタイプなので、

なんとなーくいい感じに生きてこれた。


サッカーでスタメン外されるとか、

ケガで半年以上サッカーできないとか、

その程度の挫折はちょいちょいあったけど、

それとなく乗り越えてきた。


そんな中学高校生活を過ごし、いざ大学へ。


大学に行きたかったわけじゃない。

進学校だったから、行くのが当たり前だった。


だから、大学がどんなところかも知らなかったし、

知ろうとも思っていなかった。


とにかく成績を上げて、いい大学に行く。


それが「普通」だった。


そもそも自分は勉強がキライだったので、

1,2年のころは全くやらなかった。


もちろん成績も下から数えた方がはやい。

ビリ寸前も経験した。


でも、3年の10月で部活が終わると、

さすがに大学に落ちるのはいやだから

とりあえず勉強を始めた。


始めてみたら、学内で9位まで上がった。

典型的な「YDK」だ。



そんなこんなで無事に大学に進学。


でも、大学に来てみて初めて気づく。



「あれ、俺大学に何しに来たんだ?」


大学は勉強するところだと思っていたけど、

金髪やらロン毛やらが、うじゃうじゃいる。

いろんな先輩に話を聞いても、

「遊んだもん勝ちだよ!」

としか言われない。


でも、こんなチャラついたやつらと

遊びたいなんて1ミリも思えない。


じゃあ勉強すれば?

と思われるかもしれないけど、

目的があって大学に入ったわけじゃないから

何を勉強していいかもわからない。


「大学って、つまんねーなー」


気付けば、こうなっていた。

親からも本気で心配されるレベルだった。


でも、環境ってすごいもので、

サークルの友人や先輩にもお世話になり、

なんだかんだ大学生活を楽しみ始めた。

「何もしない大学生活」を。


講義なんてまるで聞かず、

それなりにバイトをして、

フットサルをして、飲みに行く。

週末は彼女と遊ぶ。

でも要領がいいから、単位は落とさないw


そんなこんなで大学生活は進んだ。


そして、就活を迎える3年の冬。

友人の一言に、僕はがく然とした。


「オレ、もう内定出るよ」


まだ就活を始めてもいなかった自分は、

「あれ、自分やばくね?」

と大急ぎで就活を始めた。


そして、就活を始めてみて

また気付いたことが1つ。


「自分には何もない」

ということ。


とにかく楽をすることだけを考えて

大学生活を送ってきた自分には、

やりたいこともなければ

飛びぬけた強みもスキルもない。


「このままじゃこの先の時代を生きていけない」

そんなモーレツな危機感から、

僕はベンチャー企業へ就職しようと決めた。


そして、無事に内定をもらい、

大学4年の春から長期インターンを始めた。

インターンは強制ではなかったが、

僕は迷わず参加を決めた。


「とにかく早く力をつけなきゃ」

その一心しかなかったからだ。


ただ、覚悟はしていたものの

なかなかのハードワークだった。


朝9時に出社し、10時~19時まで

ひたすらにテレアポをする。

氷のように冷たい受付の対応。

社長につながったかと思えば、

噴火したかのようにブチギレられる。


やっとテレアポが終わったら、そこから資料づくり。

帰れるのはだいたい深夜の2時だった。

気付いたら朝になっていて、

シャワーだけ浴びに帰るなんてこともあった。


そして、当時は社員寮での生活だったため

帰ると10畳ほどの1部屋に男5人で雑魚寝。

週末には群馬に帰り、彼女と過ごす。

月曜日だけ大学で講義を受ける。


プライベートな時間なんて一瞬もなかった。


最初は頑張らなきゃ!の一心だったが、

だんだんとストレスがたまっていく。


いつからか僕は、

わざわざ家まで来て、ご飯を作って

待ってくれている彼女に

つらく当たってしまうようになった。


そのときの彼女の悲しそうな顔は

今でも忘れることができない。


「このままではいけない」

心が壊れていくのがわかった僕は、

東京へ引っ越すことを決める。


プライベートな時間を増やせることと、

逃げてしまいそうになる自分の

退路を断つためだ。


この決断は正解だった。

プライベートな時間もわずかながら増え、

だいぶ精神的には安定した。


でも、過酷な労働環境は変わらない。

それでも必死に食らいついていった。


そうこうするうちに秋になり、

気付けば10人以上いた同期は

5人にまで減っていた。


秋は彼女の誕生日だ。

誕生日の日、彼女は東京まで遊びに来てくれた。


なのに、僕は家にいなかった。

仕事が終わっていなかったからだ。

休日なのに会社に行っていた。


「何とか日付が変わる前に帰ろう」

そう思っていた僕は、23:45に会社を出て

全力で自転車を漕いだ。


途中のコンビニでケーキを買い、

息を切らしながら家に入る。


「おかえり」

彼女は少し寂しそうに、

でも笑顔で迎え入れてくれた。


彼女の誕生日には2分ほど間に合わなかった。


「俺、こんなんでいいのか?

 1番近くにいる人を幸せにできてないぞ?」


こんな思いが募り始める。


「早く力をつけなきゃダメだ!」

「本当にこれでいいの?」

2つの思いが、僕の中でぶつかり始める。


でも僕は、本当にこれでいいのか?という

自分の迷いから目を背け、がむしゃらに働き続けた。

周りの人間にも心配されっぱなしだったが、

あえて聞く耳を持たなかった。


そんなこんなで迎えた11月。

僕はとんでもない事件を起こした。


その日は内定式。

会社のみんなが内定をお祝いしてくれて、

内定者はみんな決意を新たにする。


はずだった。


でも僕だけは違った。


なぜかお酒の席で先輩と

大ゲンカを始めていた。


「バキッ」

あばらを思いっきり殴られた。


それでさらにヒートアップした僕は

止めに入ってくれた社長ともめ始める。


「なんでこんなことしなくちゃいけないんだ」

「本当に自分はこのままでいいのか」

「あばら痛いわ、ちくしょう」


いろんな思いが噴出する。


気付いたときには、社長に

思いっきりヘッドバッドをしていた。


そこから数時間は、あまり覚えていない。

ずーっと社長と部長と怒鳴り合っていた。


周りにいた人たちが

何とかその場を収めてくれ、

僕は家に帰った。


家で寝ていた彼女は、

血だらけのシャツで帰ってきた僕を見て

すごく心配そうな顔をしていた。


「やっちゃったな・・・」


翌朝起きた僕は、めちゃくちゃ後悔していた。

そして、スマホを会社に忘れたことに気づき

休日だったが会社へ向かった。


「はぁ…」

とぼとぼ歩きながら会社に入ると、

そこにはなんと社長がいた。


涙を浮かべながら全力で謝ったことを

今でも覚えている。


「気にしなくていいよ」

まったく怒らず許してくれた社長には

ほんとうに頭が上がらない。


「こんな事件を起こしてしまったし、

 もっともっと頑張って挽回しなきゃ」

帰るころにはそう思い始めていた。


そしてその日の夜、

会社の先輩とご飯に行った。


あんなことがあった翌日だしやめとく?

と言ってもらったが、

謝らなければという思いもあり、行くことにした。


やってしまったことに対する後悔とか、

これまでのもやもやとか、

いろいろ号泣しながら話した。


先輩は何も言わずに

じっと聞いてくれたあと、こう言った。


「本当にこのままでいいの?」


この一言で、僕はハッとした。


今まで目を背けてきた自分の迷いが

ぐわーっと押し寄せてくる。


「ちょっと時間をおいて考えます」

僕はそう言い、群馬へ帰った。


帰ったはいいものの、

どうしていいかわからない。

でも、誰かに相談したい。


そう思った僕は、群馬でお世話になっていた

経営者の方に相談しにいくことにした。


その方とは、飲み会就活で知り合い、

その後も定期的にお会いして

いろんな相談をさせてもらっていた。

会社にも何度か誘っていただいていたが、

東京で頑張ると決めていた自分はお断りをしてきた。


「なんて話せばいいんだろう…」


こんなことを思いながらも、

社長にヘッドバッドしてしまったこととか、

ドキドキしながら全てを包み隠さず話した。


全てをお話ししたあと、

返ってきたのはたった一言だった。


「うちに来ればいいじゃん」


「えっ?」

あまりに一瞬のできごとだったので

言葉を失ったが、少しして聞いた。


「でも、いいんですか?

 こんなことしでかしたやつだし、

 選考とかも受けてないし…」


「そんなのいいよw

 何回も会ってるんだから、

 どんなやつかはちゃんと知ってる」


こうして、僕は今の会社に入社する。

今の会社では人にも恵まれ、楽しく働いている。


でも一方で、自分の経験を伝えることで

人生がより良くなる人もきっといるんじゃないか

という思いもある。


僕がもっとも痛感したこと、伝えたいことは、


「自分の人生とちゃんと向き合わない限り、

 自分の人生を歩み始めることはできない」


ということ。


他人の人生を生きているから、

幸せに生きられない人があまりにも多い。


一般的にいいと言われている会社に入って、

何となく働いて、何となく歳をとっていく。

それが世の中の「普通」だから

そこに対して疑いを持つ機会もない。


それを僕は就活やインターンで痛感したし、

周りの人の話を聞いて感じることもあるし、

働いていて感じることもある。


そして、今の就活はそれが顕著に出ると思っている。

とりあえず勉強や部活をがんばってきて、

とりあえず大学に入って、遊びまくって、

3年生になったらいきなり就活が始まる。


そんなんで、いい選択ができるわけがない。

事実、僕が最も反省していることだ。

もっと早くからちゃんと考えて、

行動しておくべきだったと。


もちろん、正解なんてわからないけど、

早くからちゃんと考えて動いた分、

失敗は減らせるんじゃないかと思う。


だから、今は大学生に対して

いろいろと教えていきたいと思っているし、

今後は大学生に限らずやっていきたいとも思っている。


それが僕の「ライフワーク」だと思っているから。


そのためにも、まずは自分がもっと成長しなきゃ!

という思いで、今はメンターに弟子入りして

人としての在り方や、ビジネスを学んでいる。



そこでステキな仲間もできた。

やっと、自分の人生を歩み始めている。


がんばっていこう。

僕の人生は、まだ始まったばかりだ。

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僕の人生を変えたメンターの物語はこちら

http://i-i-b-m.jp/l/c/CnhZ5BIJ/abKFkwfO

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