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節電率90%の世界へようこそ 1.4.1.2 石炭、石油、原子力(2)、新エネルギー

Image by Olia Gozha

国別報告書(日本) COUNTRYPAPER(JAPAN)

1.序文 Introduction

  日本は、南北に約3,000kmに渡り細長く伸びた島国で、国土面積は約40万k㎡です。人口は約13,000万人で、東京、大阪などの大都市に集中しています。気候は、南北で大きく異なるものの、概ね、温暖湿潤気候に区分され、ほぼ中央に位置する東京の年間平均気温は約15℃です。(1月=5.2℃、8月=27.1℃)

 東京では、四季がはっきりしており、冬は年に1,2回は雪が降りますし、逆に夏は非常に蒸暑く、ほとんどの建物でエアコンが効いています。

2.国内使用エネルギー形態 Forms of energy used in the Country

 日本のエネルギー利用の中心は石油で、ピーク時の8割近い水準からは下がったものの、依然、全体の約半分を占め、自動車燃料や化学原料、鉱工業などに広く利用されています(図表1参照)。一方、1970年代のオイルショック以降、石油への依存度を低くする政策が進められており、発電分野では、原子力や天然ガス火力の比率が高くなっています(図表2参照)。(ちなみに、日本は、天然ガス利用の97%を海外からの輸入に頼っており、そのすべてをLNGとして輸入しています。)

 また、京都議定書で約束したCO2削減目標に向けて、新エネルギー(太陽光発電、風力発電、バイオマス、廃棄物熱利用など)の導入も積極的に進めており、1999年度実績では、1次エネルギー供給全体の1.2%にすぎませんが、2010年には約3倍に増やす目標を立てています(図表3参照)。

 図表1.日本の1次エネルギー供給(1999年度)

石 油

石 炭

原子力

天然ガス

水 力

新エネ等

地 熱

52.0%

17.4%

13.0%

12.7%

3.6%

1.1%

0.2%

  図表2.電源別発電構成(2000年)

原子力

水力

石油火力

LNG火力

石炭火力

その他

34.3%

9.6%

10.6%

26.4%

18.4%

0.7%

 図表3.主な新エネルギーの導入実績と今後の導入目標     単位:原油換算

エネルギー分野

1999年度実績

2010目標

2010/1999

太陽光発電

   5.3 万kl

   118 万kl

  約23倍

太陽熱利用

   98.0 万kl

    439 万kl

  約4倍

風力発電

    3.5 万kl

    134 万kl

  約38倍

廃棄物発電

  115.0 万kl

   552 万kl

  約5倍

バイオマス発電

   5.4 万kl

    34 万kl

  約6倍

  …

   …

   …

 

 合   計

  693.0 万kl

  1910 万kl

  約3倍

3.国内エネルギー価格 Cost of Energy in the Country

 最も身近な料金についてみると、電気、ガスともに欧米先進国と比較して高くなっています(図表4参照)。また、石油の精製コストに関しても、欧米と比較して、操業費、維持修繕費ともに我が国の方が約1.5倍前後割高(1996年。出所:(財)石油産業活性化センター調べ)になっています。石炭に関しても、一般炭の国内炭平均価格は平均輸入炭価格の約3倍(平成9年度)となっています。このように、総じて我が国のエネルギー供給は相対的に高コストにあります。

 次に、環境に優しいエネルギーとして期待されている新エネルギーの発電コストを、既存の主力電源と比べてみます。現状の試算では、コスト面ではかなり大きな開きがみられます(図表5参照)。

 図表4.電気・ガス料金の国際比較(1998年12月)

 

日本

アメリカ

フランス

ドイツ

イギリス

電 気 料 金

100

82

75

79

70

ガ ス 料 金

100

48

54

56

39

                  (資源エネルギー庁公益事業部 試算による)

 図表5.電源別発電原価比較試算(円/kWh)

原子力

水力

石油火力

LNG火力

石炭火力

風力

太陽光

5.9円

13-20円

10.2円

6.4円

6.5円

14-18円

60-100円

4.省エネルギーのための政府施策

Government Initiatives for Energy Conservation

 エネルギーに関する日本政府の方針は、“3つのE”の実現に集約されます。Energy Security(エネルギーの安定供給)、Economy Growth(経済成長)、Environmental Protection(地球環境の保全)の3つを同時に実現する施策が求められています。

 エネルギーの安定供給の観点からは、エネルギーの自給率の向上、輸入先の分散化、エネルギー備蓄の促進などがあげられ、経済成長のためには、より一層のエネルギーコストの低減に向けた取り組みが必要とされています。

 しかし、その中で、当面の一番大きな課題は、3つ目の地球環境の保全です。特に地球温暖化対策として掲げられた2010年に向けたCO2の排出量削減が急務となっています。政府は、1998年に地球温暖化対策推進本部(本部長:小泉純一郎首相)を設置し、すでに積極的に対策に取り組んでおり、現在は、①省エネルギー対策、②新エネルギー対策、③発電分野における燃料転換および原子力の増設、の3つを柱として、取り組みが進められています。

5.     規 制 Regulatory Issues

 1999年に改正した省エネルギー法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)が効果を上げてきています。同法では、エネルギー消費の大きい工場や事業所に省エネ対策や点検を義務づけたり、省エネ機器の普及を促進するために、家電製品や自動車にトップランナー基準方式(機器のエネルギー消費効率を、現在商品化されている製品のうちの最も優れている機器の性能以上の水準に設定し、それを達成基準値として、目標年度までに基準達成することをメーカーに義務づける)を適用し、機器の効率改善を促しています。

 特に、トップランナー基準は、エアコン、テレビなどの家電製品や自動車などが対象となりましたが、メーカーの開発努力の結果、すでに多くの新製品が基準をクリアしており、目標年(2003年以降、品目によって目標年が異なる)を待たずに、達成できそうな状況にあります。政府は、今後さらに対象機器を拡大して、より一層の機器の効率改善を図ることを計画しています。

 6. 問題/障壁 Problems / Barriers

電力自由化など規制緩和が進む中で、また景気の低迷が続く中で、近年、国内のエネルギー価格は低下傾向にあります。そうした中で、省エネルギー技術の導入は非常に難しくなってきています。さまざまな省エネルギー技術がすでに実用化されています。しかし、そうした技術は依然として高い費用のかかるものです。その負担を企業や消費者が喜んで受け入れるかどうか、非常に疑問が残ります。節約したランニングコストで、初期コストを回収することが難しくなっている中で、どれだけそうした技術が普及していくことができるのか、今後の省エネ対策の成功のカギとなると思います。しかし、エネルギー問題に総合的に取り組むためにはエネルギーの創造と節約の両面で取り組まなければなりません。発電と省電のためには、補助金だけでなく啓発活動も含めて、政府の役割が大切になってくると思います。

 一方、魅力的な新技術を搭載したトヨタ自動車のプリウス(ハイブリッドカー)は高価格にも関わらず、大変な売れ行きとなりました。市場は、価格だけでなく、環境性能をも評価しました。さらに、2003年には燃料電池自動車の市場投入も期待されています。魅力的な省エネルギー技術が、価格の壁を破って普及する可能性は十分あるのだと思います。

環境性能については表面的な環境性能だけでなく、商品が製造され廃棄されるまでの全過程における環境影響を評価(LCA)しなければなりません。そしてその情報を開示することで持続性のある環境共存社会を構築しなければなりません。

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