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安本豊360℃ 歌に憧れたサッカー少年 Vol.39 「360°」

Image by Olia Gozha

CDのタイトルは、「360°」と決まった。


豊は、豊のさまざまな面をちりばめたオリジナル曲を、その中におさめた。


なかなか豊の期待する速さで進まなかったこのCD作成の過程で、豊は何度か収録する曲を絞り込み、変更し、差し替えた。


望んだことではなかったが、その時間があったから、「回遊魚」を加えることもできた。


延び延びになっていたCDリリースの日程は、一旦1月9日と決まったが、結局のところ、どうしても間に合わないということで1月23日に延期になった。


最後まで、スムーズにいかへんねんや…と、延期の知らせを聞いたとき、豊は思わず漏らしてしまった。


1年前の年末からここまでの時間は、豊にとって苦しいとしか表現できない日々だった。


それは誰かのせいとか世の中が悪いとか、そんなところへ逃げるつもりはない。


豊にしても、礼央にしても、その時自分たちにできる最善のことをしてきたつもりだった。それらが至らなかったことは、申し訳ないとは思う。


しかし、未熟を責めても、そこから何も生まれない。


あるのは、そこから何を学び、何を積み上げていくか…だろう。


最後までスムーズにいかなかったこのCDにつけられたタイトル「360°」。


豊はただ、自分のさまざまな面を収めるという意味でこのタイトルを選んだのだが、もしかしたら、一見偶然に思えるこの出来事は、もう少し深い意味を持っているのかもしれない。

 



2018年の大晦日の夜、僕とギブソン先輩は、並んで照明の消えた暗い部屋から、テレビの音の漏れるリビングを眺めていた。


豊とあっちゃんが、ソファに座って、年が変わる瞬間を報道しようとするテレビ番組を見ながら、他愛もない言葉を交わしていた。


窓の外から近所のお寺の鐘の音が聞こえてきた。


ゆっくりと新年が近づいてくる。


今日が明日に変わる…これまで何度も繰り返してきたことと同じなのはよくわかっているのだが、この年の区切りが、豊にも明るい何かをもたらしてくれるように、と僕もギブソンも願わずにはいられなかった。

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Image by Jukka Aalho

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