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スタートライン 7

Image by Olia Gozha

奄美大島でのダイビングはとても楽しい時間であった。何なら、抱えているものがなければ、滞在をもっと伸ばしてもいいとさえ思った。ただ、楽しみながらも頭の隅には常にある事があった。何も考えずに楽しみたいが、今は無理だ。まあ、仕方がない。そう言って目の前の仕事に全力で取り組んだ。店の事がきがかりであった。ここ一ヶ月の間、あまり店に出勤出来ていないからだ。今回は予定外だが、ここに来る二日前まで、僕は仕事で海外に一週間程行っていた。

 ジープ島という所に泊まってダイビングをした。その期間、最高な時間が流れていた。夜は満天の星空を見て、昼は海でダイビングをして楽しむ、という、理想の一日を僕らは過ごした。

 島には日本にあるものはほとんどなかったけど、日本にないものがあった。近くの島にも滞在したが、そのミクロネシア連邦という国は、日本と価値観が大きく異なる国であった。大きな違いは、働いている人が極端に少ない、という事だ。「国民の二割位しか働いていない」という情報を行く前にネットで仕入れてはいたが、まさかそれが事実だとは思っていなかった。本当に働いている人が少ない。メイン通りの道端に、朝から多くの人が座ってぼーっとしていた。誰もせかせかしていない。日本の通勤地獄から対極にある場所だ。
 ここで生活すると、日本で抱えていた悩みはなくなるだろう。けど、新しい悩みが出来るかもしれない。グアムから飛行機で一時間ちょっとで入れる、異なる価値観のある世界。
 夜、星空を眺めながら改めて僕は「何が大切か」「何を大切にしたいか」「何をして生きるのか」「何が幸せか」を改めて考えた。海外に行き、異なる価値観に触れると、こうやって今の自分を振り返る事が多いが、それを僕は避けない。

 海の中は、無数の沈没船があったり、零戦も沈んでいた。第二次世界大戦の時に日本の拠点があった事もあり、多くの日本船が海の底で眠っていた。中には映画のタイタニックの水中シーンのモデルになった船もあり、映画の映像そのままの景色で驚いた。海ガメやイルカもいる、ダイバーにとって最高な世界であった。一瞬、このままずっとここで暮らしすのも悪くないのでは?なんて思える位特別な海。しかし、僕は勿論日本に戻った。僕にはやるべき事があるし、大切なものがある。色々あるが、逃げない。時には逃げてもいいし、避けてもいい。時と場合によるし、人によってそれは違っていい。

 好きな事、成し遂げたい事があるから、二十歳の時「全力で生きてみる」道を選らんだ。人生が一度だけだからこの道を選んだ。三回位あるのならこの道を選ばなかったかもしれない。当然シンドイ事もあるし、それ以外の好きな事が出来ない時もある。けど、覚悟を決めているから平気だ。今を全力で生きる。人生は色んな道があるし、色んな道を選んでいい。選ぶのは自由。自分の人生だ。人それぞれ。同じ人生なんてない。一見楽しそうに見える道もあるし、キラキラ輝いて見える道もある。その道を選んだのは自分。方向転換もアリ。道は1つじゃない。選択肢は沢山ある。

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