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アホの力 5-1.アホ、シャバに漕ぎ出す

Image by Olia Gozha

退院した。

おふくろに付き添われて、ぜんまい仕掛けの人形のようにギクシャクと歩きながら、ゆっくりゆっくり歩いて帰った。

途中、大宮駅で人混みに遭遇するも、周りの人の邪魔になりながらも何とかやり過ごした。

しばらくは実家で過ごす事になる。早く南相馬に帰りたいが、いきなりアパートで独り暮らしはハードルが高すぎる。実家で過ごし、身体をシャバに慣らしつつ、機能回復も図らねば。言わば『慣らし運転』だ。


 


そこでSNSを使い、私とつながりのある人にお願いをした。


『俺と会ってくれねえかな?』


慣らし運転が必要なのは、身体だけでは無かった。7ケ月の入院で周りの動きから取り残され、すっかり『浦島太郎』状態になっていた。


心も慣らし運転が必要だったのだ。

そんな状態の私に必要な事は『人と会って話を聞く』事だと思った。


退院の時に、大宮駅で人混みの中を歩いたが、私のような片輪者にとって、人混み恐怖の場所だ。少しでも誰かとぶつかれば、即転倒につながるし。遭遇する危険をとっさに裂ける事が出来ないからだ。

でも、ゆっくりゆっくりではあるものの、人混みは何とかクリアしている。


これならば、街に出ても大丈夫なんじゃないか。

そんな訳で、私はガシガシ街に出かけ、人と会う事を始めた。

そんな中で、群馬のコミュニティFMに出演するという光栄な体験もした。


入院していた病院のスタッフの中に、たまたまこのラジオ局のある番組でパーソナリティーをしていた人と知り合いな人がいて、その人に『変なやつが入院してる』と紹介してくれたのだ。

『南相馬の話をしてほしい』というオーダーだった。被災地の話を私がしても良いものだろうかとは思ったが、『南相馬は面白いところだ』という切り口で話をさせてもらう。


こうして私は、主に近場ではあったが、あちこちに出かけて色んな人と会い、色んな場に顔を出していた。


この頃、南相馬の『みんな共和国』では、あるプロジェクトを進めていた。


公園に、子供達が水遊びの出来る『じゃぶじゃぶ池』をつくろうというプロジェクトだ。

私の知らぬ間に、南相馬の仲間達はまたオモロそうな事をしてる…どうすりゃこれに加われるかな。

アホの腹の虫が、またうずうずし出していた。

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