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アホの力 4-19.アホ、転院する②

Image by Olia Gozha

ゴールデンウィークの外泊を終え、病院に帰ってきた。


病院への帰りも、南相馬から見舞いに来てくれた見舞客に送ってもらった。外泊中も、TV局の人以外に何人かの見舞客と会っていた。病院に来てくれる見舞いも有難いが、外泊中にわざわざ会いに来てくれるのはまた特別な感じがあった。

健常な時にシャバで会っていた時とは違う、日常に近い雰囲気での面会は、私が目指すべき場所をより鮮明に思い起こさせてくれた。


みんなのいるあの場所に戻りたい。そのためにはどうなっていたいか、何をしようか。


その視点で見ると、まだまだ私には機能の改善が必要だった。日常の動作にまだ支障がある。南相馬に戻って一人暮らしをするには程遠い。

しかし、リハビリ入院に転院してはや3ヶ月…そろそろ退院して自宅療養を考える時期だった。

だが、一人暮らしが出来そうにないとなると、退院したら実家で療養する事になる。だが、前作でも書いた通り、おふくろに気遣いをさせながら実家で過ごすのは、正直難しいなと感じていた。


ならばどうするか。脳梗塞など脳卒中を患いリハビリ入院出来る期間は、健康保険の関係で半年と決められている。私の場合、リハビリ病院に移って3か月半。まだ2ヶ月ちょっと入院可能な日があった。だが、今入院している病院からは『そろそろ退院を』という話がある。私のいた埼玉県の場合、脳卒中のリハビリは非常に混雑していて、リハビリ入院も空きベッド待ちの人がかなりいた。なのである程度の回復で『あとは自宅療養で』という提案になるのは仕方のない事だった。

だったら、受け入れ可能な病院を自分で探して入院しよう。


その日から転院先探しが始まった。といっても、前にも書いた通り、私は病院にパソコンを持ち込んでいたので、探すといってもGoogle検索をすれば情報は手に入れられるので、あとは片っ端から電話をしてみるだけだ。数あるリハビリ病院のうち、1か所だけ、すぐに受け入れ可能と言ってくれた病院があった。群馬の病院である。ちょっと特徴的なリハビリ方法を取り入れた病院で、リハビリの成績も良いようだった。


『よし。ここに転院しよう。』

転院の時季は、5月21日と決めた。


 


群馬のその病院までは、電車を乗り継いで1時間半ほどかかる。車を使おうか…介護タクシーか…でもそんな金は無い。果たして1時間半の電車移動が、今の私に出来るだろうか。そんな不安はあった。


でも、時間は人の3倍かかるものの、街の中を歩けないという訳ではない。電車の車内も、座る事が出来れば問題ないだろうと考え、電車で移動する事にした。電車に乗る事が出来るか、試してみたかったし。


そこまで決めたところで、facebook上で転院する旨をみんなに報告した。


すると、思ってもみなかった事だが、ゴールデンウィーク中に私を取材してくれた福島中央テレビ『ゴジてれChu』が、何と転院する様子を取材させてくれという。

『何でだ?何でそこまで丁寧に取材してくれるんだ?私なんか有名人でも何でもない、ただのアホなおっさんだ。TVに連続して出るほどの価値は無いよ。』


と不思議ではあったが、僭越ながらOKさせてもらった。


かくして転院の日。

TV カメラと取材クルーを従えて病院にやって来た私を、群馬の病院の人達はどんなふうに見ていたのだろうか?

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