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アホの力 3-15.アホ、気にかけてもらう

Image by Olia Gozha

2012年の秋から初冬にかけては、とても苦しんだ時期だった。だが、それ以上に充実した時期でもあった。激烈に苦しんだが、大変楽しかった。じゃ無ければ、とっくにみみセンを辞めていただろう。


この『楽しい』という感覚がとても大事だ。アホな私にとって、『楽しむ』という事は難しい事では無い。浮かれながらやってれば良いだけだからだ。そいつは得意技だ。苦しい事も、空元気を出して取り組めば楽しめた。その後、また違った『苦しい事への取り組み方』を見出す事になるのだが、その話はまた改めてしようと思う。


南相馬は東北の片田舎で、言うまでもなく、東日本大震災と原発事故の被災地域だ。そのような場所で場所で『フューチャーセンタ』の看板を(カッコだけとはいえ)立ち上げ活動しているみみセンの事は、TVや新聞にも取り上げられたりした事もあり、日本各地でフューチャーセンターの活動を展開している人達の間でも、まずまず知られていたようだ。


そんな中に、ボブ・スティルがーさんというアメリカ人がいた。ボブさんは世界的に活躍するファシリテーターで、南アフリカやジンバブエ、ブラジルなどでフューチャーセッションを開いて活躍してきた人だ。フューチャーセンターに関しては第1人者といっていい。そんなボブさんは、東日本大震災以降の日本に思いを寄せてこられ、何度も来日して日本各地でセッションを開きながら、東北にフューチャーセンターをつくろうという活動に参加してこられていた。


その流れでみみセンの事を知ったらしく、非常に注目していたようだが、何せみみセンを運営するのは、フューチャーセンターのイロハを何も知らない私である。たいそう心配して下さった。


そこで何とボブさんは、自らフューチャーセッションを開催し、無償で私や南相馬の人達に本物のフューチャーセッションを教えようと申し出てくれたのだ。日本の各所で活躍するファシリテーターと共にみみセンに来訪してである。

何て事だ…。

ちゃんとしたフューチャーセッションを開催するどころか、参加した事すらなかった当時の私に、本当のフューチャーセッションを教えに来てくれる。


『支援は惜しまない』という言葉までかけてくれている。


断る理由は無い。それどころか、本物のフューチャーセッション学び、みみセンを『なんちゃってフューチャーセンター』から脱却させる貴重なチャンスだ。


 


これはとても凄い事なのだ。


たとえて言うなら、エリック・クラプトンがあなただけの為に、あなたの家にわざわざギターを教えに来てくれるようなものだ。しかもノーギャラで。


これはみみセンの今後にとっては物凄いターニングポイントになるに違いない。

私は早速『是非お願いします』と返事をした。


 


そして、ボブさんはやってきた。優しいオーラをまといつつ。


セッション当日は、震度5弱余震があった。セッションに参加しようと集まり始めた街の人達の間に緊張が走る。余震のたびに、震災のトラウマが呼び起こされて、パニックになる人もいる。そんな様子を見て、一度はセッションの中止を決断した私だったが、集まった人達から『やろう』という声が上がり、セッションは行われる事となった。


 


ボブさんのセッションは、参加者の話を掘り下げて聴く事に重きが置かれていた。セッションは事前にきちんと組み立てられ、『ここはこういう意図を持って、こんな手法で進めよう』ということが明確にされていた。そんなセッションを、2日の長丁場で行ったのだ。


"参加者にしっかり語ってもらって、それをしっかり受け止めよう”


という事を、それはそれは優しい空気が醸し出された場で行うのだ。


 


なんというか…圧倒されてしまった。


凄い。これが本物のフューチャーセッションか。


私もこういう事をやりたい。


心の底から思った。


 


これ以降も、ボブさんは東北や私の事を気にかけて下さり、自らの書籍の中にみみセンや私を登場させてくれたりもしている。


 


私には『師匠』と呼ぶ人が何人かいるんだが、ボブさんももちろん私の『師匠』だ。


この記事を書いている時点で、この時のセッションから6年経っているのだが、あの時体験したセッションは私の『原点』であり、いまだに私の『目標』である。

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