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アホの力 3-13.アホ、気がつく

Image by Olia Gozha

9月の訪れと共に『みんな共和国 手のひらを太陽に!大作戦!!』は終了した。

全力疾走で駆け抜けた夏になった。

楽しかった。

 

とはいえ、私にはみみセンがある。呆けてる暇は無い…はずなんだが、何だか気分が落ち着いちゃってる。

いっちょまえに『燃え尽き症候群』なのかも。それなりにやる事はこなしていたが、なーんかノリがいまいちだ。

 

そんな日を2.3日過ごしただろうか。いつも通りみみセンの前の道路を掃き掃除してるところに、一台の車が止まった。

ふとナンバープレートを見ると、そこには『尾張小牧』と書かれている。どうやらみみセンを目指して来たらしいが、尾張小牧ナンバーの車には心当たりがない。何だろうと様子を見ていると、中から3人の女の子とオッサンが下りてきた。

3人の女の子が言う『大阪から来ました!』

大阪?何事だ?

『私達、女3人で、ヒッチハイクで大阪から来たんです』

ヒッチハイク?女3人?じゃあこのオッサンは?

『愛知でヒッチハイクして乗せてもらってきたんです』

は?こいつら何言ってんだ?愛知から福島までヒッチハイカーを乗せてくれるなんてあるの?しかもみみセンにピンポイントで?

そこでオッサンがこう言った。

『暇だったから乗せてきました』

…アホなのか?

 

実は2012年の春頃から、大阪の若い奴らが南相馬に通ってきていた。8月の高見公園にも遊びに来てくれていた。彼らは、この街でやるべき事を探しているという。

この日やってきた3人の女の子は、その若者の知り合いだった。そいつらからみみセンの話を聞いて、ヒッチハイクでやってきたという訳だ。

 

むーん…さてどうしたものか。目指して来てくれたのはいいが、遊び場のイベントは終わってる。みみセンとしては特に手伝ってもらう事は無い。けど来てくれたからにはこの街を味わってもらいたい。

そこで思った。みみセンのをオープンして以来、この場所を目指してやって来る人はちらほらといた。みみセンは『人と人をつなぐ場』を自称してもいた。だったらこうしてこの街を訪れた人達をアテンドする事も、みみセンの役割だろう…と。

 

当時の南相馬には、30ヶ所以上の仮設住宅があり、それぞれの仮設住宅で、社会福祉協議会が2週に一回サロンを開いていた。

仮説のサロンで被災者の話を直接聞いてもらう事は、被災したこの街の状況を知ってもらうには最適だ。そこで、社会福祉協議会に連絡を取り、3人がサロンに参加出来るように段取りし、仮設住宅に連れて行った。そこでいわゆる『傾聴ボランティア』をしてもらったのだ。

3人にとってそこでの体験は、なかなか大きかったようだ。

その後『みんな共和国』の面々にも引き合わせ、色々な話をしてもらった。街のあちこちを案内して回り、仮設住宅の集会所に泊まれるように手配して、彼女達を送り届けた。

 

彼女達、大阪からヒッチハイクでここまでやって来るような、行動力に溢れたアホだ。

とにかくパワフルで明るい。

傾聴ボランティアに入った仮設でも、ずいぶん喜ばれたみたいだった。

そんな彼女達が、仮設住宅での被災者とのふれあいを、涙ぐみながら思い返して話す。

そんな様子を見て、『これって凄く大事な事だよな』と思った。じかに見てもらい、そのまま心に留め、それを発信してもらう。そして街の人と直につなげて仲良くなってもらう。みみセンでは、この役割を積極的に担っていきたいのだ。私はそれをしたいのだ。そのことに気づいた。

 

この頃からだろうか。私が『つなぎびと』を自称し始めたのは。

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Image by Jukka Aalho

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