旅は呆気なく終わる。2019年1月26日早朝、冷たい朝霧の中、巡礼のゴールに着いた。
ここが、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de compostela)。スペインのガリシア地方になる。聖ジェイコブの遺骸がある。特大の大聖堂では、その棺(ひつぎ)の近くまで行くことができる。よくこのような大きな石積を完成させたものだな、とアーチの天井を見上げる。
記念の証書を受けるところは、想像していた古い石作りの建物でもなく、老いた牧師さんもいなかった。
液晶ディスプレイに案内され、ガラス張りのカウンターで最後のスタンプをクレデンシアルに押してもらう。 なんだか、思っていたゴールと全然違う。 春から夏にかけては1日に2000人の巡礼者がスタンプを求めて列をなす、というから無理もない。
リスボンまでは空路で戻る。
ヨーロッパの空港では、たいてい自転車梱包サービスがある。専用箱付きで15ユーロと安い。 それも出発ロビーにあるから大変便利だ。
ポルトガル1ヶ月自転車巡礼とサーフィンの旅をまとめてみる。
1,先ずは、人との出会いが素晴らしかった。村から村へと旅をする。そこで暮らす人々との出会いは旅そのものの印象だ。
街角のレストランでは、地元のおいしいものを教えてくれる人がいたりする。何をたべたらいいかを一緒に考えてくれる人がいた。そういう時はとても嬉しいし、この異国の地に来て良かったなーと心底思う瞬間だ。
どこのレストランでもいわゆるハズレはなかった。たいていは、談笑のうちに楽しく食事ができた。
サーファーたちはフレンドリーだった。 国や場所が変わっても目的はただ一つ、いい波に乗ること 。沖に出て波待ちをする。そこで知りあいになるとビールや食事に誘ってくれる。 ビーチでシャワーを出してくれたりもする。
どこのポイントで入っていても楽しい雰囲気だった。
ただ大西洋の波は強烈なので私の修行の足りなさが露呈した。
日本に憧れを持っている人もたくさんいる。 我々(私)がポルトガルのことを知ってる以上に彼らは日本のことをよく知っている。親日国といえる。日本人同様、こまやかな気づかいがあり、気どらない感じの人が多かった。
2,体は、ある程度負荷をかけると強くなるということを再認識した。
冷たい雨、上り坂、向かい風と厳しい自転車旅ではあったが、87kg以上あった体重が、1ヶ月で81kgまで落ちた。 軽やかに動けるし快適だ。
3,ポルトガルでは、人生を活きいきと生きる力を再び授かった気がする。
社会がのびのびしているということは、やはり大切な事だ。ローマ時代、大航海時代を経てさまざまな経験をした国なのだろう。なんとも云えぬ余裕というか、熟成度を感じる国だった。
規則でガチガチしすぎると新しい発想や大胆な行動が出来なくなってしまう。ポルトガルは、なんにつけ規則はゆるめだ。しかしモラルというか、民度が高いなと感じる場面によく出くわした。
また、成功したりいいことをしている人を応援する気持ちが豊かだなとも感じた。
成功してる人や目立つ人のあしをひっぱるような島国根性がなくなれば、一人一人がもっとパワーを出せるはずだ。
誰かがミスをしたら、それを一緒に修正し、どのようにしたらいいかをコメントするようにすれば、社会は何倍も良くなっていくのだろうとポルトガルの旅を通して再認識した。
そういう社会であれば結婚し子供を作り、幸せに暮らしていきたいと思う人も増えるかも知れない。
すべては子々孫々のためである。
世界の多くの町では子供達が たくさんいて元気に遊びまわっている。 世界的には人口が爆発的に増えているのだ。
せっかく旅をするのであれば、 そういうところをじっくりと見て来られるような旅をして欲しい。
ポルトガル、スペインは、じっくり旅するには是非お勧めしたい国だ。私自身もすでにポルトガル行きの航空券を探し始めている。
以上でポルトガル自転車巡礼の旅の旅日記を終わります。
お読みいただきありがとうございました。
また日本でのアップロード、校正修正に尽力いただいた方々、特にYMさんに心より感謝しています。
ありがとうございました。
終わり