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お母さん(3~4歳)

Image by Olia Gozha

父がいない3人での生活。
それは思いのほか寂しいもの…ではなく平和で温かい毎日でした。
母は僕たちに沢山の愛をくれたと思います。
 

しかし別居してからしばらく経った頃、母は言いました。
『お父さんと会うことになったから、一緒に来てくれる?』と。
 

”喧嘩ばかりしているお父さんとなんでまた会うのかな…?”

そう思いました。

 

父との待ち合わせ場所は、駅近くにある公園の噴水前。


すでに父は待っていました。
そして、母の顔を見た次の瞬間、父は母へ猛突進し、母を殴りました。
母が倒れても殴るのをやめようとしない父。

あまりにも一瞬の出来事で呆然と立ち尽くす僕たち兄弟。

弟は隣で泣いていました。

やがて、なんとか父を振り払った母は、逃げるようにその場を去りました。
残された僕と弟は、父に引き取られました。

そこから僕たち兄弟と父との生活が始まりました。


父と暮らし始めて数日経ったある日、父は言いました。
「お母さんは、もうお母さんじゃなくなったよ。」

父と母は、離婚をしたのです。
あの時、逃げるように去って行った後ろ姿が、僕達が見た母の最後の姿。

母と会うことは二度とありませんでした。

僕と弟は保育園に入園しました。
「お母さんが、お母さんじゃなくなった」
その言葉の意味が理解できなかった僕は、
それでもいつかお母さんに会えると信じていました。

いつか帰ってきてくれるものだと思っていました。
ある日、寝ていたらふと涙が止まらなくなりました。

そして布団の中で絞り出すように言いました。
「お母さん…会いたい…。」

その時、なんとなく察しました。

もうお母さんには会えないのだ、と。

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