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家族の崩壊 10 「稼業の人と遊び回る日々」

Image by Olia Gozha

三年生になってから、ほんとに勉強はしなくなった。47都道府県の位置と、それを漢字で書く。という物には興味があったが、あとはまったくと言っていいほどやらなかった。 


担任の先生は、おばあちゃん先生で、生徒を不良にさせないには勉強でがんじがらめにすればいいって考え方の人で、猛烈に宿題を出した。 

しかし俺は、いくら親に宿題をやれと言われても絶対にやらなかった。 
どんなに怒られようが、絶対にやらないと決めたのだ。 

真面目にやろうが、そうでなかろうが怒られたり殴られたりするんだから、悪い事をして殴られる方が納得がいく。 

俺は絶対に宿題をやらなかった。 
いや、授業中だって真面目にやってはいなかった。 

教科書はページを内側に折り込んでハリセンにしたり、パラパラ漫画を作って遊んだ。 

国語、音楽の教科書には、顔写真にヒゲやメガネを落書きした。 

とくに算数はどんどん解らなくなった。 
分数は未だに解らない。 
これより上の事はまったく出来ない。 
未だに出来ない。 

連立方程式…はて? 

もう、ここからはほとんど0点。 
それは中学卒業まで変わらなかった。 

給食当番、掃除当番もサボった。 

机の中はプリントだらけ。 

ただ給食を食べに来てるだけだった…。 

そして、何かあれば、ことある毎に俺のせいにされた。 

物が壊れりゃ 

『アンタがやったんでしょ!?』 

物が無くなりゃ 

『またアンタでしょ!?』 

女子からよく言われたが、反論したってどうせ信用されないんだから、俺じゃなくても 

『ああ。俺だよ…文句あっか?』 

などと返答した。 

その度に批判された。いちいち否定すんのもめんどくさい。 
無駄骨は折りたくない。 
信用されないんだから…。信じてくれって言ったって…。 



そして時を同じくして、俺の異常行動は始まった。 

ある日帰宅すると、テーブルの上に食べ残しのインスタントラーメンがあった。 
そのラーメンの丼の中にはうっすら口紅が着いたタバコが捨てられていた。 

俺はそのタバコの吸い殻が入った食べ残しのインスタントラーメンを手掴みで食った。 

何故食ったか解らない。ただ、食った…。 

帰宅した母から烈火の如く怒られた。 

お前、あんな汚ないもん食べたのか!? ハエだってたかってんだぞ!? 

分かってる。 
汚ないことくらい俺だって分かってる。 

でも、何日かして、同じようにしてタバコの吸い殻が捨ててあったラーメンを、俺は食った…。 

またある時は、古いサラダ油を飲んだ。 
餃子を焼いた時に出た油だ。 
フライパンに残っていた古いサラダ油を、俺は飲んだ。 

体全体に藪蚊に刺されたような痕が、一面に出た。痒くて痒くて学校を休んで病院に行った。 



おやつ替わりに、揚げ玉を食べていて、近所の893稼業の方に笑われてしまった事もあった。 

その稼業の方は、うちの近所にある組の構成員の方で、表向きは土建業。 
しかし内実は背中に刺青を入れてらっしゃる方達で、ほぼ全員パンチパーマか、パンチパーマ&ヒゲ。 

背中には綺麗な刺青が施されていた。 

俺はこの中で、◯◯ちゃんと呼ばれてる方によく遊んでもらった。狭い道をジープで猛スピードで飛ばして走るのだ。 
なんともいえない爽快感があった。 

よく一緒に銭湯にも連れて行ってもらった。 
後に知ることになるのだが、この組の二代目と父は小学校、中学校からの同級生であり、他の構成員の方からも 

『よう! オヤジ元気か?』 

などと聞かれていたから、ブログの最初で語った、父の黒歴史について何か知ってるのか、関与してるのかも知れない…。 


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