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「名付け」に対する思い入れ、その原体験

Image by Olia Gozha

一番古い記憶。

ぼくのいちばん古い記憶は、映像で残っていて。

当時、通っていた保育園の廊下。

廊下と言っても、室内ではなくて、外に面している教室の並び。

細長く、遠くまで続いていくようで、色はモノクロか、ちょっとセピア。


その映像と一緒に思い出されるエピソードがあって。

当時の保育園の先生に、妹の名付けについて、自分の意見を言ったという記憶。

妹とは4つ違いだから、この記憶は、満4歳になる前の9月の出来事ということになる。

もう少し寒い季節のように思えるけれど、まだ秋のことだから、夕方だったかもしれない。


妹の名前は、ゆかりというのだけれど、親が候補に上げていた名前は、ゆかりと、もう一つあった。


そのもう一つの名前は、

ふみえ、ゆりこ、さゆり・・

うーん、どうだったか、わからない。

思い出せない。


4歳になる前のぼくは、ゆかりじゃなくて、もう一つの名前がいいと思っていた。

でも、親はゆかりという名前を選んで、もう一つの名前は選ばれなかった。

親がつけた名前につけて不満を感じたぼくは、その気持を保育園の先生に伝えた。

そんな記憶。


確かかどうかわからないけれど、これが一番古い記憶。


***


アイデンティティデザインと称して、自分を知るためのいろんな方法を実践していく中で、一番古い記憶ってなんだろう?と考えてでてきたエピソードが、この妹の名付け事件です。

ひるがえって、今の自分のことを思うと、「名付け」という行為に一方ならぬ思い入れがあることに気づきます。

個人事業として独立するときの屋号や、娘の名付けにもこだわりましたし、実際に、屋号や商品名、ブランド名のネーミングを仕事にしています。


ポエジーという屋号は、名乗りはじめて3年半、まだちょっと大き過ぎるというか、自分のものにできてない感がありますが、娘の名前なんかは、いい名前だねって褒めてもらえることが多く、嬉しいものです。

その人、そのモノ、その存在が意味するものに、いちばんふさわしい名前をつけるって、ぼくにとってはすごく価値を感じる、ワクワクする作業です。

昔の人は、一郎、次郎、三郎・・・なんてな具合でしたけどもね、今の時代はなんかこう、名付けに対する意識が強くなっているようでいいですね。

ま、キラキラネームなんていうのもありますが。


それともう一つ、親の決めたことについて、不満と自分の意見をもっていたこと、これも今のぼくをすごく表しています。

ぼくはこう思う、こう考える、こっちのほうがいいんじゃないかと思う。

そんなことをずっと思っていました。そんな人が大人になってどうなるかというと、デザインなどという仕事に出会ってしまうのですね。

自分のフィルターを通して世の中を見て、新しい視点を与える。こんな言い方をする人もいるようですね、「デザインとは、物の意味を与えることである」と。


さて、そんな「ぼくはこう思う」と、周りのみんなとちょっと違った意見をもっていたミズノ少年は、小学校の高学年、中学生と試練に向かっていくわけですが、それはまた別のお話。





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