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純情ホスト③ 生活困窮編④

Image by Olia Gozha

それから数週間は、なんとかTにご飯を奢ってもらったり先輩にご飯を奢ってもらったりしながらなんとか生活をしていた。

 

だがこのままいくと携帯電話が料金未払いで止まる・・・

 

そうなったらジ・エンドだ。

 

お客さんと連絡をとる事が出来なくなったらもう頑張りようもない。

残念ながらテレパシーを使える技術は自分にはない。

父親がNTTの社長でもない。

 

初回で店に来てくれて、こちらからアプローチをかけずにまた店に来てくれて自分を指名してくれるドラマなど期待できない。

 

すでにこの頃は公衆電話で電話などかけたらドン引きされる時代だった。

 

連絡を取る手段・・・

自分という存在をアピール、自分という存在を思い出させる・・・

キャッチ、店の新規といった出会いを2回目へと繋ぐ為に絶対的に必要なツール。

それが携帯電話だった。

 

3か月の保証期間が切れて、携帯電話が止められてトぶ。

何もできなくなるからだ。

それは従業員がやめる一番多いパターンの中の一つだった。

 

自分自身にもそのカウントダウンが始まっていた。

三か月という期間ではないが、このままでは携帯電話の使用料金を払う金が無い・・・

 

一方、

Tには3日に1回ほど待ち合わせて、ご飯を奢ってもらっている感じだった。

 

Tには店に来てくれとは一度も言わなかった。

 

ただただ金が無くてご飯を奢ってもらうという感じで、せめてその食事をしている間はバカな事を言ったり明るく会話をして、食事をしている時間が楽しんでもらえるように心がけた。

 

その後の展開を期待したチキンレースだ。

 

携帯電話が止まるか・・・・

 

 Tからのアプローチがあるか・・・

 

 

そんな状態でのTと食事をした数日後・・・。

Tからの着信があった。

 

T「もしもし、K君?」

私「違うよ。・・・・ウソウソ(笑)、そうだよ~!どうしたの?」

 

T「いっつもご飯一緒に行ってるけど・・・どういう事なのかな?」

私「えっ!?そりゃTと一緒にご飯食べてると楽しいしね~。お金がないのもあるけど(笑)」

 

T「私も楽しいよ。」

私「それは良かったよ!申し訳ないと思ってたから、少しホッとしたよ(笑)」

 

T「・・・・付き合って・・・欲しいんだけど・・・。」

私「・・・・えっ!?・・・・・・」

 

 

私「・・・少し考えさせて欲しい・・・」

 

T[いきなりだもんね!ごめんね、じゃあまた・・・返事待ってるね!]

 

そして私は電話を切った。

 

 

 

この展開を私は待っていた。

 

 

2日後ぐらいだったか・・・。

Tに私から電話をかける。

コール音が鳴る間、自分の心臓の鼓動も聞こえていたのを覚えている・・・。

これが本当の最後の希望だからだ。

 

T「もしもし?K君」

 

私「もしもし・・・Tちゃん?今電話大丈夫だったかな?」

 

T「・・・・大丈夫だよ。」

 

私「この前、言ってくれた事の返事だったんだけど・・・」

 

T「・・・・・・。」

 

私「本当ごめん・・・。今は付き合えないよ・・・。」

 

T「・・・・。」

私「・・・・。」

 

 

私「Tちゃんの事は好きなんだけど・・・・。今付き合ったら絶対に迷惑かけるから。」

T「・・・どういう事?」

 

私「ただでさえ今Tちゃんにご飯奢ってもらわないと飯も食えない様な状況だから・・・。もう生活するのも限界になってきてるんだよ・・・。」

私「店やめたら、実家にも戻れないからどっか誰にも知られない様な所にいかないといけないだろうし。」

 

T「・・・・・・。」

私「・・・・・・。」

 

T「私の事が好きじゃないから付き合えないって訳じゃないって事?」

私「Tちゃんの事は・・・好きだよ。・・・だけど、絶対迷惑かけちゃうから・・・。」

 

T「・・・どれくらいあれば、生活していけるの?」

 

私「・・・えっ?」

 

T「私が生活費渡す・・・。」

 

私「・・それが俺の言ってた迷惑かけるって事なんだよ?」

 

T「それでもK君といたいから・・・。」

 

給料が0なのは本当だ。

そうして、私はTと付き合う事になり1週間につき5万円ほどの生活費をもらう様になった。

 

Tとは、数年付き合うという形になったが・・・

手を握るくらいで、キスもする事はなかった・・・・。

 

 

人間のゴミ。

人間のクズ。

社会のダニ。

宇宙一のダメ男。

 

なんと言われようと私は何も思わない。

キャバクラ嬢やクラブ嬢だってよくやっている事だ。

 

男が女を養う。

男が女を守る。

男が女を食わせるのが当たり前。

そういった世間の大多数の常識。

 

それが逆になっただけだ・・・。

ただ単に男が女を守るという空気がなんとなくあるだけで、

誰が決めたのか?

 

それが正解なのか不正解なのか・・・

誰かに分かる訳がない。

 

恋愛感情を利用して自分に利益誘導する。

よくある話だ。

 

愛人契約を月100万で結ぶ。

中国の方に何年で数億という契約で愛人になった。

マンションを用意してもらった。

家賃を払ってもらっている。

ご飯を食べに行くのに付き合うと1回で1万もらえる。

 

男が女に貢ぐのはよくある話。

女が男に貢ぐのは・・・・。

それもよくある話。

 

男女は関係ない。

 

本当か嘘か・・・

 

それすらも関係がない。

 

本人にしか心の奥底の真実はわからないのだから。

 

まわりからみれば騙されているようにみえても、最終的に騙してなかったんだねというケースもあれば。

最初は順風満帆だったとしても、最終的には騙されたとわめく場合だってある。

 

当人同士が納得して始まり、納得して終わればそれでいい。

 

 

私はTの事を本当に好きだった・・・・・・・。

 

 

ほら、嘘か本当かなんてわからないだろ?

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