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純情ホスト③ 生活困窮編②

Image by Olia Gozha



タイムリミット(お金0円)になる前になんとかしなければいけない。


そんな切迫した状況の中で怒涛のキャッチを繰り返していた。

 

半分諦めと、諦めたらそこで試合終了だという安西先生の言葉が交互に襲ってくるようなギリギリの状況で、一人の女の子に声をかけた時だった。

 

私「ニーハオ、これからどこに行くの?」

女の子「あっ!・・・B(店舗名)のK君だよね?」

 

私「あれっ?分かるの?」

女の子「写真・・・見た事あったから」

 

写真で見た事があると言えば、ほぼ風俗は間違いない・・・。

その頃の時代は、広辞苑ほどの分厚い風俗誌の後半に、ホストの店舗の特集が掲載されていた。

写真といえば、その風俗誌以外にはない。

一般の女の子がそんな風俗誌を見るはずもない・・・・。

 

その頃は、風俗の女の子が待機時間などによく後半のホストのページを見ているというのはよく知られた話だった。

風俗店自体に風俗誌が置かれているからだ。

 

そして、以前書いたように私はダサダサホストだったが、一度ナンバーワンという掲載のされ方をしている。

その写真の話も女の子から少しされた・・・

声をかけた時の女の子のリアクションも正直悪くない・・・。

ゴミを見るような目でもなく、鬱陶しがっている感じもない。

むしろ、しっかりと丁寧に応対をしてくれる。

 

見た目の雰囲気は、

歳はちょうど20ぐらいか?

身長はかなり低め。150センチぐらいであろうか・・・。

来ている服は少しラフな感じで近所のコンビニに行くような恰好だ。

白いシャツに少しダメージの入ったジーパン。

足元はその頃に、その方面の一部でよくみたキティちゃんのサンダル。

スタイルは正直いいとは言えないが、太っているわけではなく標準的な体型だった。

顔立ちは全体的に薄い顔だちでどちらかというと地味な方だろう。

 

声をかけたのは0時をまわっていたので、その時間にそんなラフな格好で風俗が密集しているエリアを歩いているのは風俗嬢以外にない。

恰好から推測するに店に泊まっているのだろうか?

ほんと、少し近所に歩いていくだけのような恰好だったからだ・・・。

 

私「ごめんねー、こんな時間にいきなり声かけて。」

女の子「ううん・・・。なんでキャッチなんかしてるの?」

私「店がうるさくてさー!(半分ほんと)でも店はどうでもいいからもし良かったら今度ご飯でも行こうよ。店戻らなきゃいけないし、今はあんまり時間ないから電話番号教えてよ!」

 

時間がないなら声かけるな!!!

ともう一人の自分が突っ込みをいれていた。

しかもこんな時間に怪しさ満点だ。

女の子「えーっ・・・ご飯だったら・・・いいかな。店は行かないよ?(笑)」

私「全然大丈夫!そんなつもりで声かけてないからさ!名前はなんていうの?」

女の子「Tだよ!」

私「じゃあ、Tちゃんまた連絡するよ!またね!」

女の子「はーい(笑)」

 

Tちゃんを見送った後、店に戻る道中・・・。

 

(反応は悪くない・・・。いや、むしろいい方だ。これから連絡をとって、とりあえず二回目の約束を取り付けて、そこからどうなるか・・・。猶予的にこの出会いがタイムリミットギリギリだな・・・・。)

 

ネオンで生き残れるかどうか。

ネオンの世界をもう少し見てみたい・・・。

夜の幻の様な空気感に魅了されていたのだろうか・・・。

 

ヘルプが待っている店に小走りで戻る時には、

ままごとで着ている様なスーツの上着が少し暑く感じる季節だった。

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