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愛の中にあるということ(2)

Image by Olia Gozha


翌朝、目覚めて温泉に行くと

お風呂の窓一面に


どーーーんと、富士山


えー!!!


思わず声を上げ、立ち尽くし見とれてしまう


昨夜は暗くて、富士山は見えなかった

朝いちばんの、キラキラの陽射しの中

前を見ると富士山


すごい!すごい!

富士山がみたかったの!!


その願いはいちばん大好きな、お風呂で

大好きな太陽を浴びながら眺め

そこで瞑想をするという

いちばん贅沢なかたちで、叶った


ホテルのモーニングを

時間も気にせずのんびり食べ


さて、今日はどうしよう?

そんな会話も、自分とだけ、する


不思議と、調べなくてもどうにかなる、と

ずっと思っていて

目的地を決めなくても、必ず、あ!これ!

と思うものが目に飛び込んできた

その、何とかなるさ、と

キャッチする、あ!これだ!だけに

動かされた、旅だった


ホテルを出てとりあえず

公衆電話まで行き、彼の電話を鳴らしてみる

その日は夜も、また鳴らしてみたけれど

出なかった



首から下げている、ガラケー

胸ポケットに、あるのだから

気付かない、と言うには無理がある


気付いてるけど、避けられてるな、、と

思い始めていた


公衆電話からかけているから 

折り返しかかってくることもない


3日目、この日は何をしても上手く行かない

行こうと思った目的地へ、

バスを乗り過ごし、戻るバスはなかなか来ず

ようやく着いて、参拝した後

別の場所へ移動するために

スーツケースを持って動いていたのに 

またしても、バスが来ず、

延々立ったまま、一時間半遅れのバスに

ようやく乗る

すでに時間がだいぶ遅くなっていて

ここから先へ移動するにも

時間が読めなくて心許ない


行先も決められず、

とりあえず今から乗れるバスで 

行けそうなところ、、と時刻表を見ると

何故か、東京行き、ばかり


戻れってこと?

戻りたくないんだけど、、


バスの時間を見て、行けそうなところは

東京行きか、今朝出てきた街に戻るか、だった


結局、出てきた街に戻るバスに、乗った

そのバスも、渋滞で、時間がかかり


ものすごく、長い一日、

結局またここに、戻ってきた

所持金もそろそろ底をつきそうで


何とかなる!なんて出てきたけど

何とか、なりそうもないな、、と、

意気消沈して、カフェに座り時間を潰す


すべては、愛だから

愛を中心に行動したら

お金もついてまわる、と思っていたけど  

お金の入るアテはなく 

どうやって、これから過ごそうか

 

3日目にして早くも

これで終わりなのか、この旅、、と

嫌だ嫌だ、絶対にまだ戻りたくない  

ここで終わりだなんて、思えない


と、どうするアテもなく考え

カフェも閉店だと追い出される


駅前のベンチに座り


だめだ、何もアイデアが浮かばない、


これはもう、やっぱり風  俗  かな、、


身元を知られず働くには

それしかないなと、最終的にはと

思ってはいた


でも、、本当に、ここで終わり?

本当にわたし、

子供を置いて出てきて、

この街で風  俗  やるために、生きているの??


最後になにか、思い残してる事が

あるんじゃないか、、と


あ!そうだ

私、何度も電話してるけど

何を言いたいのか、何も考えていなかった!!


と、突然思い出し


そうだ、最後にもう一度、電話しよう

何を言いたいのか、決めてから

それでダメならもう、本当に終わりにしよう 

 

頭の中で、シナリオを軽く練り  

言いたい言葉の、ポイントをまとめる


どうせ、全てが終わりなら


言いたいことは、ちゃんと言おう



意を決して、公衆電話に向かう。


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