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生きるために、手放す(9)

Image by Olia Gozha


家の中はひとりひとり

バラバラな状態で

好きな事だけやっている


私がご飯を作るとき

夫はスマホでゲーム、

子供たちはそれぞれ手にタブレットやゲーム


ふと、台所から見ると

全員ひとつの部屋にいながら

まるで違うことをして下を向き


ご飯は突然出来てテーブルに並んでいるもの


という空気


そうさせてきたのは

自分をないがしろにして

自分の扱いを家政婦レベルにしていた


自分自身なんだ、と


この時のわたしは、知識としても

知っていた




ふと見渡した、あまりにも空虚な空間、


全員、誰も

私が今何をしているのか

興味が無い


興味を持たれていなくても

疲れていてだるくても

ご飯を無言で作り続ける


これって、何でなの???


料理を作る手が止まる

火を止めて、キッチンから

リビングに居る、夫と息子たちを

見ていた



あぁ、そうなんだ、


この空虚な無関心は


私の心の風景と同じなんだ、、



息子たちに、私が必死に

栄養素の記号を組み合わせて

品数の中に野菜が何種類、

ここが欠けているからこれを足す


そうやって作った料理を



ぜんぶ、あなたのためだから

ぜんぶ、無理してでも押し込みなさい


あなたのことを思って、愛なのよと


押しつけている、この料理



これは、私が

自分に無関心で、空虚なのに

あるべき姿、こうでありたい姿

○○のために必要だから、と

無理やり押し付けて飲み込ませる


私自身の、空虚が、これなのか




食べたい、楽しい、から発していない



食べてないと、育たない

病気になる、バランスを崩すよと


怖いから、やってるだけだ 


食べてなくても大丈夫

病気になるとかバランス崩すとか

そんなの、やってみなきゃ

わからないじゃん!!



その日、作りかけていた料理だけ仕上げ


ちっとも楽しくなさそうに

義務のように食卓につく、家族に




ご飯をつくるの、辞めました。



栄養とかバランスとか


たぶん、大したことじゃない、大丈夫


こんなに無理して作ってるのに

疲れてるのに必死にやってるのに

食べてくれない!

っていうのは、私自身の虚しさであって

あなた達には、関係のない怒りを

いつもぶつけていた

イライラしてごめんなさい



明日からは、無理しないで

好きなものを、楽しく食べましょう、と



淡々と、告げた



夫は、何を言ったのか覚えていない


長男が、一生懸命

ごめんね、ちゃんと食べるから

つまらなさそうにしないから

ちゃんと作って、母さんのご飯好きだから

世界一美味しいんだから、と


それでも私が、淡々と


脅しや不満で言ってるんじゃないのよ

こんなに必死でやってるのに!は、

誰にも関係ない、ただ母さんが

勝手に、無理して

勝手に、期待して

勝手に、怒ってる

必死に作ってるのは、あなた達を

大事に思うから、なんだけど


こんなに、必死にならなくても

美味しいごはんは食べられるし

この、やらなきゃいけない!と

やってやったんだから

食べなさいよ!!って

無理して、埋めてる、母さんの

精神状態がね、

これをやってたら、いいお母さんだって

怖い顔して、料理作って

誰も、嬉しくないし



何より、母さんがね

楽しくないのよ、ちっとも



やりたくないこと、辞めるだけ。


それでもまだ、長男は 

育児放棄だの、自分勝手だの、ワガママだの

ごちゃごちゃ、反論していた



育児なんて、

本当は必要ないのだ、そう思った


体は、必要に応じて摂取して

悪いものなら出すだろうし

不調が出たら摂らなくなる


こんなにガチガチに、頭に詰め込んだ知識で


食生活のバランスはこれ、

説教のしたかは、こう

正しい褒め方は、

勉強の向き合い方は

寝る時間は、起きる時間は、

エトセトラ、、、


決められた通り、は、誰のため?


誰に合わせた指針なの?


ひとりひとりは違うのに

正しい姿はひとつなの?




子供たちに、たくさん押し付けてきた


こうであるべき、は


私自身の評価への不安


こんなお箸の持ち方で

こんな口の利き方で

宿題や持ち物やあいさつや

ありとあらゆる、目に見える評価


子供の前に私が

恥をかくから怖かっただけだ



そのことが、子供自信を傷つけたら

自分で傷に気づいて、痛みを知って

立ち上がるしか、ないはずだ


痛む前に、知る前に、


痛くなるよ!悪くなるよ!

恥かくよ!後で困るよ!と


取り上げるから


傷つかず痛まず


知らずに通り過ぎてしまう


もしも悪いものだけ食べ続け

本当に病気になり体を壊したとしても

それは、その成長が、本人の気づきが必要で


必然に起こるはず


万が一命を落とすとしても

長患いして苦しむとしても

それも、本人の

生命力と向き合う学びなんだ



生命力を、なめていたんだ


あぶないよ、あぶないよって

 

立ち上がる力

学ぶ力

回復する力

排除する力

バランスを保つ力


信じてあげていなかったんだ


大丈夫なはずだ


そもそも、強いのだから


育てよう、学ばせよう、は逆だ


育ちたい、学びたいを

邪魔していたんだ、私の子育て、、




こうである べき

躾と、子育てを


この時思いきって

手放した




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