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生きるために、手放す(2)

Image by Olia Gozha

2月、


拗ねて、ごねて

明け方まで繰り広げられる、


夫婦の攻防


仕事もしていたから

本当に体はつらく、泥の中に居るようで

心も常に、泥のように途切れない

夫の呪詛にひっぱられ

眠っても、すっきりしない

夜中に何度も目が覚める

ただでさえ極度の低血圧で起きるのは辛いのに

べったり張りつく泥の藻屑の中から

這い上がるようにして起き


喜びの感情が湧くことはなく


これがいつまで続くのか

終わりの見えない泥仕合に


もうすぐ私死ぬんじゃないか

いっそ終わってくれたら楽なのに

なぜ死なずに毎朝起きるのか


人間の底力って、すごいもんだな


自分を他人事のように見て

大変なのによく生きてる、と思っていた



元旦までは、私だって

夫に掴みかかり、殴ったり蹴ったりしていた

あまりにもネチネチと続く嫌味と

言葉を返しても返しても、違う角度に捉え

自分の思うようにしか物事を運ばない

夫とのやり取りは、

こんなことになる前から、うまくいってない


お互い、相手のせいにして

批判して、やり返して

あんたのせいで!

お前のせいで!と


罵り合う、ただの子どもで、


問題を避けて通るから


堂々めぐりをしていた




いま思えば


わざわざ怒らせて、

生きた感情で、掴みかかってくる

私を見るのは

夫の狙ったところだったのかもしれない


一切の感情を見せなくなり

怒りの感情すら、ぶつけなくなった私に

より一層イライラしだした夫



これまでなら、こう言えば

怒って掴みかかってきた、感情をぶつけてきた

それを一切、私が拾わず

無視して通り過ぎるようになったら



ふいに


刃物を持ち出して


あいつの所に行ってくる


と、夜中や明け方に


私を起こすようになった


無視して、寝ようと、

明け方、気を失うように寝た頃


枕元に無言で立ち

黙ったまま私をじっと見下ろし

パジャマの上にコートを羽織って立つ


夫の、殺気で


気配で、目を覚まし、ギョッとする


無言で、私の枕元にある携帯を

顎で、指し示し、


見ろ、と



見ると、


包丁を握っている手元の写真と


すべてあいつのせいだ


という言葉



後から直ぐに削除され


そんなものお前の幻想だと

一蹴されたけれど


こんなことを、夢かうつつか

境界線のない、

夜中や明け方まで、ずっと起きて


あいつを恨んで、、


どうだ、こうだ、というLINEも、

夜の間に何十通も、私に届く


朝起きて、LINEの通知を見て

吐き気のするほどギョッとする毎日



あなたから、離れたい

二度と顔も見たくない、

その、私の意思が夫をそうさせていて

私のせいで、狂気じみているのだとしても



これは、夫の精神状態の問題であり


私の問題では、ないのだ


これに怯んで

離れる意志を、翻すことは、ないんだ



刃物を持ち出した日

さすがに自分でも、

この写真はまずいと思ったのか

すぐに削除していたけれど


私も、これはいよいよ、危険だ


本当に、夜中もおちおち寝られず


何をするか分からない、という


実際に、本当にはやらないだろうと思いつつ

それでも、


もし万が一、彼に危害を加える


本気になったら。


狂気はそこまで差し迫っているように見えた



夫は、彼の家の住所もすべて

押さえていたから

もし、本当に自暴自棄になったら


夜中に家まで押しかけることは

容易くやるだろうと、この時本気で


怖かった



何とかしなきゃ

どうしよう、彼のお店に会いに行って


少しだけ、会うことが出来たら、、、


これを伝えた方がいいのか、


怖がらせるのも申し訳ないから

言わない方がいいのか




悩みに悩み


そしてまた、


神さまに委ねた。


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