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B先生のこと

Image by Olia Gozha

B先生のこと

高校生が自宅に二階で勉強している。

「あれ?手がしびれる・・」

 足も痙攣し始めて、後ろにひっくり返る。

「お父さん!ボク、なんか変だ」

 父親が階下から、駆け上がってくる。カメのようにひっくり返っている息子を見て

「おまえ、何をやっとんのや」

 近所の病院で、看護師に手足を抑え付けられて。

「手、手足がひきつる!」

 母親が隣で、医師に𠮟られている。

「これは、ノイローゼの一種です。この時期になると、こんなん多いのですよ。勉強しろと言ったでしょう」

10年後、アメリカのローガン中学校。

「ミスター・タカギ、原爆が落とされた時、日本人は怒った?」

「え?」

アメリカ人の教師が慌てて静止する。日本の高校野球の写真を見せる。

「この写真のボーイたちは、なんで坊主頭なの?」

「アメリカじゃ、坊主は囚人か軍人くらいだけどさ」

「・・・・・」

「ここは本当に自由のアメリカだなぁ。校則でがんじがらめの日本と大違い・・・」

日本。小さなアパートの一室を教室にした塾の教室で。

「先生、あんたの生徒がうちの子のパンツを下ろしたんだよ。どんな教育してんだ!」

「そろそろ、このアパートから出ないとなぁ」

ある銀行で。

「あのね、銀行は大規模校を勝ち組。個人塾は負け組みと思っているわけよ。融資なんか、通りませんよ」

「はぁ・・・」

授業が終わって、掃除をしていたら宿題に出したプリントが捨ててある。翌日、塾生の母親の訪問)

「ですから、今ここで娘を合格させると保証して下さい!!」

(帰宅したら、英検1級の不合格通知が届いている。そこに、奥さんが現れる)

「あなた、最近“強制退塾制度”を作ったの?クリスチャンとして最低じゃない」

「生徒は、誰もあなたを慕ってなんかいないわ!学歴がいいだけじゃない!」

「・・・・・・・」

(小学1年生の娘が出てきて)

「お母さん、ケンカしないで・・・」

四日市高校で。

「30年前の成績表?そのようなものがあるわけないですよ」

センター試験会場の三重大学の入り口で、警備員が走ってくる。

「すみません。本日は、受験生以外は入れないんですよ」

「あ、私も受験生なんで。これ、受験票です」

「え?そうなんですか?」

京都のホテルで、早朝の京都大学までの送迎バス前で。

「すみません。これは、受験生専用なのでご父兄は乗れないんですよ」

「あ、私は受験生です」

「え?そうなんですか?」

成績開示の結果を見て,英語8割、数学割を確認。塾の教室で。

「A子ちゃん、京大の英作文はこう書くと8割を越えるよ」

「そうなんですか?」

「それから、質問は家から自由にメールしていいから」

「それじゃ、先生が儲からないじゃないですか」

15年後。家で寝転んでいたら、成人した娘がやってきて

「お父さん、誕生日のプレゼント。それから、私たちもう大人だから、気にせず再婚していいよ。ありがとう」

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