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回想録2011年5月21日土曜 朝7時半。私は妊娠生活も終盤、臨月で、次男の誕生まであと数日、というところだった。
パンパンに大きくなったおなかを撫でながら、もうすぐだねーと、土曜の朝。まったり布団の中で、心地良い時間、まどろんでいると、突然 隣で夫が、激しい頭痛を訴え転げまわり始めたのだ。
一瞬、何が起きたのかわからなかった。こんな姿、見た事ない。最初、私は彼が半分ふざけているのかと思った。というのも、それほど、尋常ではない転げまわり方をしていたのだ。
「あ~~~~~~~痛い!割れる」ベランダに出て、嘔吐し始めた夫を見て、私はようやく気付いた。
・・・これはただ事ではない。
慌てて 救急車を呼び、近くに住む母にも来て貰い、年長の長男を預かってもらうことにした。「ママーどうしちゃったの?なんでピーポー来てるの?」
息子をなだめながらも、私はパニック状態だった。救急隊員に誘導されて救急車へと乗り込み、夫は病院へと搬送された。依然痛がっている夫の横で私は、震える手を握り締めていた。
・・・どうなっちゃうんだろう。一瞬、最悪の事態が頭をよぎったが、すぐ、大丈夫、と自分に言い聞かせ、夫に声をかけ続けた。
検査の結果、眼底(脳の奥)近くに未破裂の脳動脈瘤が見つかった。しかも3センチという超巨大サイズ。よくここまで破裂せずにいたものだ、と医者には驚かれた。
これが破裂すると、くも膜下出血を起こすのだが、見つかったのが破裂前だったので、まだ良かった方なのかもしれない。
これがいつ破れるかは全く予測できず、動かすのも危険なので、今は入院してしばらく安静にするしかない。ICUで、ベッド上絶対安静。光も目に刺激となる為、カーテンを閉め切り、薄暗い部屋の中で、無機質な機械のプッ、プッ、、、という音だけが響いていた。
私は、ゆっくりしている暇はない。出産間近だが、幸いまだ生まれそうにはないので 付き添い看病することができた。
来週から更なる精密検査をし、いずれ脳外科手術をする予定とのこと。
夫は痛がっているものの、意識もあるし、話せるし、鎮痛剤でひとまず元気なので心配ない。
良かった。病院じたいが久しぶり過ぎて、本人は点滴にビビってるので笑ってしまった。
夫の命があるだけでも、私は幸せだと気付いたのだ。
出産に立ち会ってもらうことはどうやら無理そうだけど、何とか頑張るしかないみたいだ。
それにしても何というタイミング!
人生いろいろあって、飽きる暇もない。 とにかく!
・・・私は思った。
世の中 いろんなことが起こっている昨今…、ただじゃ転んでいられない!まずは、できることから行動しなくては。
早速、私は自宅へ戻り、夫の入院のための荷物と、手続き書類を持って、再び車を運転して病院へ。出産を予定していた産院にも立ち寄って、夫と同じ総合病院へ転院の手続きをとってもらうことにした。
夫の家族へも電話。英国人の彼の家族は当然、全員外国にいるので私しか近況を報告することができない。
この時、電話の代わりにFacebookが連絡を取るのに大活躍。インターネットの存在が本当に便利で、有難い!と、その時に心の底から思った。
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